2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for small molecules controlling cell differentiation
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18H02100
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中尾 洋一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60282696)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天然小分子 / 幹細胞 / 分化 / 作用メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、各組織・臓器の形成期における構成細胞間の複雑な相互作用を理解することを目的としている。2019年度は、われわれの研究室で稼動している心・血管系と神経系の2系統のin vitro細胞分化誘導系を用いて、複合的in vitro細胞分化系の構築を行い、スクリーニング系を立ち上げた。 この過程で、さまざまな前駆細胞の混合パターンによる共培養を試みた結果、特徴的な分化パターンを発現する分化誘導条件を確立できた。これらの条件を細かく組み合わせることで、ふたつ以上の独立する細胞分化系を組み合わせた共分化系における複雑な細胞間相互作用を介した組織形成機構を複合的に解析可能となった。これにより、本系において特徴的な表現型変化を引き起こす天然小分子の探索を行う基盤が整った。 具体的には、マウスES細胞から誘導したFlk1+細胞(心血管系前駆細胞)および、神経幹細胞、OP9マウスストロマ細胞による、複合的三次元培養系における活性評価を用いた活性化合物の探索スクリーニングを開始した。ここに研究室保有の食品抽出物ライブラリーを投与し、細胞スフィアの表現型に何らかの変化を与える食品サンプルのあぶり出しを行った。いくつかヒットが認められているため、これらから活性本体を単離構造決定し、その作用メカニズムを明らかにするべく研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスES細胞から誘導したFlk1+細胞(心血管系前駆細胞)および神経幹細胞を用いて、複合的な3次元細胞分化系の構築に成功し、この系を用いたスクリーニングは順調に進行している(コロナウイルスによる大学休講禁止期間が5月31日までで終了した)。ここで活性を示したサンプルから活性本体の単離・同定を速やかに行えることが期待されるため、今年度後半には標的分子の同定など、作用メカニズムに踏み込んだ研究へと展開できると考える。見出された活性化合物によって明らかにされる知見は複合的細胞分化調節機構の理解という本研究の根幹をなす極めて重要な情報であり、これまでに積み上げてきたノウハウを生かして速やかな作用メカニズムの解析も期待できる。以上よりおおむね順調に研究が進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は複合的in vitro細胞分化系の活性評価系としての完成度を上げ、エピゲノム調節活性ともリンクさせた遺伝子発現プロファイルの変化を基盤とした高精度の活性評価を行う。これにより、見出した活性化合物の作用メカニズムを迅速かつ詳細に検討可能なものとする。ここまでの研究で、すでに細胞分化調節に関わることが明らかとなった小分子について、本系を用いて作用パターンを比較し、評価制度の向上に努める。また、活性化合物投与下での細胞における遺伝子発現パターンの変化を、継時的に解析するための最適なサンプリングタイミングについても検討を行ってゆく。以上により、細胞分化調節機構について多面的な解析を可能とするシステムを構築するとともに、再生医療の実用化に貢献しうる医薬品の開発へとつなげたい。
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Research Products
(6 results)