2019 Fiscal Year Annual Research Report
Directed evolution of peptides that recognize dye structures and its application for research tools
Project/Area Number |
18H02103
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
寺井 琢也 埼玉大学, 理工学研究科, 特任准教授 (00508145)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機色素 / ペプチド / 細胞イメージング / タンパク質精製 / 進化分子工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「有機小分子の合理設計」と「生体高分子の配列改変」の2つのアプローチを有機的に統合することで、小分子・ペプチド複合体に基づく新規分子ツールの開発を目的としている。中でも小分子認識ペプチド、特に『色素分子の構造変化を可逆的に認識するポリペプチド』を進化分子工学的手法により取得することで、ケミカルバイオロジーへの応用を目指している。 本年度はまず、前年度の研究で見出した、pH依存的に構造変化を起こす有機色素リガンド(フェノールフタレイン誘導体)と中性条件下のみで親和性を持つペプチドについて、その特性の改良を目指した研究を行った。具体的には、課題であった親和性の改善に向け、リガンドとの相互作用に有利と考えられるトリプトファン残基を予め複数導入した15残基のペプチドライブラリを設計した。このペプチドをcDNA display(=puromycin DNAリンカーを介してポリペプチドとそれをコードするcDNAが1分子レベルで共有結合した複合体分子)へと変換し、リガンドを固定した担体と中性条件でインキュベーション、塩基性条件で解離反応を行った。この操作を複数回繰り返した後、絞り込まれたライブラリのDNAを次世代シークエンスによって解析した。上位配列をクローン化して結合評価を行ったところ、目的の結合・解離特性を持つFW15-3配列が得られた。前年度の探索で得られたLV59配列と比較して、FW15-3はリガンド固定化担体に対して約8倍の結合効率を示した。この効率は、一般にタンパク質精製に用いられるHis6タグと比較しても遜色ない結果であった。 また、ペプチドとの結合により蛍光上昇が期待される弱蛍光性色素に対しても上と同様にペプチドのin vitro selectionを行い、ある程度の親和性を持つ配列の取得に成功した。しかし、蛍光強度の変化率は期待と比べれば十分とは言えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標の一つであった「pH変化で溶出可能なタンパク質精製システム」開発については前年度の結果を基にさらなる研究を進め、cDNA display分子ライブラリを調製するうえでは十分に実用的なレベルの結合ペプチドを得ることができた。また「蛍光増強ペプチドを用いた新規細胞イメージング法」の開発についても、今後の改良の余地はあるものの一定の成果が得られたことは評価に値すると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は「蛍光増強ペプチドを用いた新規細胞イメージング法」の開発を中心に研究を推進する。具体的には、1)ポリペプチドの基本骨格をより剛直なものに変更し、ランダム化したアミノ酸残基が効果的に色素と相互作用できるようにする、2)蛍光色素の分子設計を見直すとともに、構造が類似したコントロール色素には結合しないようネガティブセレクションも合わせて実施する、などの工夫を行う。また、ライブラリ中の各ペプチドと蛍光色素が結合した際の蛍光強度変化を大規模かつ定量的に評価可能な、酵母表層ディスプレイ法や大腸菌を用いたコロニーアッセイについてもその技術基盤を構築して検討を行いたい。
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Research Products
(17 results)