2019 Fiscal Year Annual Research Report
実践的プローブ分子開発のためのクリックケミストリーの新展開
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18H02104
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アジド / クリック反応 / 環状アルキン / 多機能性分子 / プラットフォーム分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命機能の発現機構を分子レベルで理解し、効果的に制御するための新しい方法論の開拓が求められている。これに対して、本研究では、最近我々が見いだした、各種アジド基が示す特異な反応性、環状アルキンの反応性制御法を利用した逐次連結法を大きく高度化し、疾患に関わる機構解明に役立つ研究手法の開発に取り組んでいる。 平成31/令和元年度は、主に、以下の2つのテーマに取り組んだ。まず、(1)プラットフォーム分子の創製と逐次クリック反応の開発に関して、詳しく検討した。以前に我々は、アジド基とベンゼン環との共鳴禁止に関する独自の知見を鍵として、高反応性アジドの開発に成功している。今回、実験および計算化学を利用し、アルケニルアジドなどの環状アルキンとのクリック反応性について精査することで、アジド基のクリック反応性に対する共鳴の影響を明らかにした。とくに、共役系の長いアジド基の場合にはクリック反応性が低下する一方で、アジド基とアルケンとの共鳴が2つのフェニル基で阻害されるアルケニルアジドの場合には、対応するスチリルアジドよりも著しく高いクリック反応性を示すことを明らかにした。今後、本研究で得られた知見が高活性アジドの開発などに役立つことに加え、共鳴禁止を利用した分子設計などの幅広い応用に繋がると期待される。また、(2)新たな異種アジド基選択的反応に関して検討した結果、Ir触媒を用いたトリアゾール形成反応において、異種アジド選択的に反応が進行することを見いだした。さらに、2つのアジド基とブロモ基など、他の連結用官能基を併せもったプラットフォーム分子開発にも成功し、異種アジド選択的反応とクロスカップリング反応による逐次連結を効率よく行えることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
独自の共鳴禁止に基づくクリック反応制御法に関する新たな知見を獲得することができたとともに、異種アジド選択的反応に関しても新たな条件を見出すことに成功するなど、マルチクリック反応に応用可能な新規プラットフォーム分子の設計に役立つ期待以上の成果が得られ、関連論文も報告できたことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、複数モダリティでのイメージングを行えるプローブの開発など、生体分子機能解明に利用できる基盤技術を確立するため、今年度までに得られた成果をマルチクリック可能な新規プラットフォーム分子の創製などに応用展開する。
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