2019 Fiscal Year Annual Research Report
N-オキシド化学による鉄センシング技術を基盤とした鉄ホメオスタシスの解明・制御
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18H02110
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平山 祐 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (10600207)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄イオン / イメージング / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体内における鉄ホメオスタシスおよびその変動による病態への関与に関わる機構解明を目指し、種々の新たなケミカルツールの開発と、それらを駆使した生命科学研究を展開することを目的としている。 本年度は、前年度に開発した高感度プローブを使ったハイスループットスクリーニングの結果見出した鉄制御化合物の活性評価を行なった。ハイスループットスクリーニングから、細胞内の鉄動態を変動させるいくつかの化合物が見つかったが、今回はその中でも過去に鉄代謝との関連が未知である化合物に着目し、その鉄変動作用機序について調査した。その結果、当該化合物は細胞内の鉄貯蔵タンパク質を分解することで細胞内の遊離鉄濃度を上昇させていることが明らかになった。現在、当該化合物の作用機序解明を目指し、ケミカルバイオロジー研究を指向した全合成研究と、プローブ化に向けた構造活性相関研究に適した合成経路開拓研究を実施しているところである。 一方、定量化を目指した蛍光プローブ開発については、核局在型プローブ、およびミトコンドリア局在型プローブについて、それぞれ候補化合物を数種類ずつ合成したが、鉄イオンに対する蛍光応答性が数倍程度であったり、細胞内における局在の特異性が低い等、ハイスループット解析へと応用するには性能が十分ではないことが明らかとなった。こちらについても現在、高性能化について検討しているところである。 また、本研究で実施した鉄イオン蛍光プローブの最適化研究の中で、鉄イオンではなくヘムに対して応答する蛍光プローブ分子を見出し、現在その機能解析と構造最適化研究を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に達成を予定していた細胞内小器官局在型レシオメトリックプローブの開発は若干遅れているものの、ハイスループットスクリーニングにより見出した化合物の機能解明研究についてはあるていどの目処がつき、現在論文投稿中である。また、上記に記載したとおり、偶然見出したヘムに対する蛍光プローブの開発研究についても並行して進行し始め、従来の計画に加え、新たな研究展開が始まったことから、順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングより得られた鉄変動化合物の全合成研究と、作用機序解明のためのケミカルプローブ化研究を通じ、化合物の標的分子の探索研究を実施し、新たな鉄代謝機構の発見へとつなげる。一方、定量化型プローブの開発についても合成経路を確立したことから、その誘導体合成研究を加速し、得られたプローブを使ったハイスループットスクリーニング研究を実施する。
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Research Products
(21 results)