2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation mechanism of iron nutrition by ubiquitin ligases and iron-sulfur clusters
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18H02115
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 高範 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70590206)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄欠乏 / ユビキチンリガーゼ / 鉄硫黄クラスター / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンリガーゼHRZの基質候補であるbZIP転写因子のタンパク質の発現系と相互作用の検出法を再検討し、in vitro実験の追試を行った。HRZによるユビキチン化と26Sプロテアソーム系による分解を示唆する結果が確認できたが、やや不明瞭であり、さらなる条件検討が必要と考えられた。 HRZ と相互作用するbHLH転写因子OsbHLH058とそのホモログOsbHLH059および、HRZの基質候補であるbZIP転写因子およびグルタレドキシン遺伝子の発現量を増減させた形質転換イネについて、鉄欠乏応答、遺伝子の発現パターン、金属濃度の解析を進めた。これらの遺伝子は植物体内での鉄の輸送と利用を促進する働きがあることが示唆された。特に、OsbHLH058、OsbHLH059は鉄の吸収と輸送に関与する多くの鉄欠乏応答性遺伝子の発現を正に制御する重要な因子であることを明らかにし、査読付き論文として発表した。 また、bZIP 転写因子の過剰発現イネの遺伝子発現パターンを詳細に調査したところ、鉄の体内輸送に関与する遺伝子の他に、病害抵抗性や植物ホルモン応答に関与する遺伝子の多くを正に制御することを見いだした。 HRZ が持つ金属結合ドメインのうち、鉄硫黄クラスターを形成すると予想されるRubredoxin type-foldにCRISPR/Cas9 により変異を導入したイネの遺伝子型・表現型調査と次世代の獲得を続行した。ホモで変異が導入された系統で、鉄欠乏応答と金属濃度の測定を行ったところ、Rubredoxin type-foldの変異によりHRZの機能が欠失し、鉄の蓄積と鉄欠乏耐性が付与されることが示された。 HRZの下流で働く可能性がある鉄欠乏誘導性ペプチドIMAの発現量を増減させた形質転換イネを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リコンビナントタンパク質による in vitro 反応系については、示唆的な結果が確認されつつあるが、さらなる条件検討が必要である。 HRZ関連タンパク質の遺伝子発現量を増減させた形質転換イネおよび、CRISPR/Cas9 によるHRZ変異導入イネは一部の例外を除いて順調に作製と解析が進んでおり、それらの多くは鉄欠乏応答や鉄の利用効率に関連した表現型が検出できている。また、bZIP転写因子による鉄栄養と病害抵抗性の両面制御が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
HRZ関連タンパク質および鉄硫黄クラスター関連タンパク質の遺伝子発現量を増減させた形質転換イネおよび、CRISPR/Cas9 によるHRZ変異導入イネの作製、解析を進める。 in vitro 反応系については新たな研究員を雇用し、タンパク質調製や反応系の検討を続行する。
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Research Products
(12 results)