2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02118
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中島 敏明 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80241777)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テレフタル酸 / 微生物分解 / プラスチックリサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度TB-97株の遺伝子破壊を行った結果、目的とする二重破壊株の取得に成功した。二重破壊株は補助炭素源としてリンゴ酸を添加した場合にテレフタル酸(TPA)の分解とプロトカテク酸(PCA)の生産が確認された。 そこで、PCAからの有用物質(2-ピロン4,6-ジカルボン酸:PDC)の生産を検討した。検索の結果、当研究室保有のポリウレタン分解菌 TB-35株が、PCA-4,5-ジオキシゲナーゼによるPCA分解遺伝子群を持ち、かつPDCまでの経路を持つことを見いだした。これらをE. coli JM109株に導入し、PCAからのPDC生産をHPLCにて確認した。次に、本遺伝子群を二重破壊株に導入したところ、十分な生産が得られなかった。 そこで、新規テレフタル酸分解菌の遺伝子解析と候補遺伝子群の選出を追加して実施した。TB-97株の分離源である活性汚泥のアンプリコン解析の結果から、現在の活性汚泥内にはTB-97株はほとんど検出されず、鉄添加により環境が変化したことでTB-97株とは異なるTPA分解菌が生育している可能性が考えられた。 そこで、新たなTPA分解菌の取得を目的とし、活性汚泥からの新規スクリーニングを試みた結果、活性汚泥中の成分を補因子としてTPAを分解する菌株4株を取得した。16S rDNAの配列決定を行ったところ、これらはPigmentiphaga属であると考えられた。Pigmentiphaga属菌は下水処理施設などの汚泥に存在し、一部の菌株はフロックを形成するまた、芳香族分解能力を持つものが知られている。これらの配列をアンプリコン解析の結果と照合したところ、一致するものが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分解遺伝子群をTB-97二重破壊株に導入したところ、十分な生産が得られなかったため、新規テレフタル酸分解菌の遺伝子解析と候補遺伝子群の選出を追加して実施した結果、さらなる有用分解菌、遺伝子群の取得に成功した。また、全体の計画自体は、当初予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)アンプリコン解析からTPA分解菌である可能性の高い菌種について、その菌種に特化した培養方法を検索し、取得を試みる。 2)TB-97二重破壊株、及び組換え大腸菌を用いた有用物質の生産をめざし、PCAまたはジヒドロジオールからの有望物質生産遺伝子の検索と導入を行う。 3)TB-97とは異なるPCA代謝系を持ち、他にも多くの芳香族分解関連酵素遺伝子を持つNo.6株について、培養試験と関連遺伝子群のクローニングを行う。 4)TB-97株の持つキレート物質(シデロフォア)について精製と構造決定を進め、さらに合成遺伝子群の特定を試みる。
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Research Products
(2 results)