2019 Fiscal Year Annual Research Report
有用糸状菌、二形性酵母において生体膜リン脂質が果たしている役割の総合的理解
Project/Area Number |
18H02119
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀内 裕之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00209280)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 糸状菌 / 二形性酵母 / リン脂質 / 菌糸生長 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では産業上有用な糸状菌Aspergillus oryzaeとアルカン資化性で脂質生産等に利用されている二形性酵母Yarrowia lipol yticaを対象として、各種リン脂 質の合成に関わる遺伝子の破壊株、それらの発現を人為的に制御できる株群を作製し、個々のリン脂質の成分含 量を変化させた株のセットを作製する。これらの 株のうち、特徴的なリン脂質組成変化を示した菌を対象として、各種オルガネ ラにおけるリン脂質組成・分布の変化を検討するとともに、それぞれの株の形態変 化、性質の変化を検討する。得られた結果か ら、A. oryzaeとY. lipolyticaにおけるそれぞれ有用な性質と各種リン脂質と関係を明らかにするとともに、酵母型 細胞と糸状 形態型細胞での異同をも含めて各種リン脂質が果たしている役割を総合的に理解することを目的としていた。 本年度は前年度に引き続きY. lipolyticaにおいてリン脂質合成に関わると考えられる遺伝子の破壊株の作製並びに二重破壊株の作成を行いその破壊株の表現型の解析を行った。その結果、リン脂質組成に異常が見られたもの、酵母状形態、菌糸状形態に異常が見られるものなどが存在し、リン脂質がY. lipolyticaの形態形成において重要な役割を果たしていることが示唆された。 また。A. oryzaeにおいては前年度に引き続きリン脂質合成に関わると考えられる数種の遺伝子について転写開始点の決定、イントロンの位置の確認等を行った。その結果、予想されていた転写開始点よりも後方から転写が開始する可能性があるものもあり、一部のタンパク質のN末端配列が異なる可能性も示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
A. oryzaeのリン脂質合成関連遺伝子の解析において当初予想していなかった、転写開始点の違いなどが生じたため、発言制御可能株の作製に遅れが生じているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、さらに多くの遺伝子において破壊株、遺伝子発現制御株の作製を行いその表現型解析するとともに、その遺伝子産物の細胞内局在部位の解析などを行い、Y. lipolytica、A. oryzaeにおけるリン脂質の形態形成における意義などを総合的に理解する。
|