2018 Fiscal Year Annual Research Report
Nitrogen Signaling Factor (NSF)-mediated cell-to-cell communication in fission yeast
Project/Area Number |
18H02131
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
八代田 陽子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (60360658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 剛 九州大学, 薬学研究院, 教授 (50359551)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞間コミュニケーション / 分裂酵母 / オキシリピン / 窒素代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
高濃度アンモニアおよび十分量のロイシンを含む培地において、窒素源シグナリング因子(NSF)を含む野生株培養液上清を添加しても適応生育が見られない分裂酵母の遺伝子破壊株(leu1-32 xxxΔ)をスクリーニングしたところ、12株のヒット株を得た。NSFの結合パートナーを同定するためのプローブ分子の合成を段階的に試行した。まず脂肪鎖先端にアルキンを導入したプローブを合成し、オリジナルのNSFより30倍ほど活性は低いものの、適応生育活性を保持していることを確認した。さらに以下の誘導体を合成し、それぞれの適応生育活性を試験した;(1)γ位にジアジリンを持つ光親和性標識プローブ(活性:NSFより~10倍低い)、(2)OH基をメチルカーバメートに置換したプローブ(活性:NSFと同等)、(3)OH基をプロパンアミドに置換したプローブ(活性:~70倍低い)、(4)OH基をメトキシに置換したプローブ(活性:~1,000倍低い)、(5)カルボキシ基をメチルアセトアミドやジメチルアセトアミドに置換したプローブ(活性なし)。 細胞間コミュニケーションの媒介手段として細胞外小胞の関与の有無を調べるため、出芽酵母からの細胞外小胞の単離に関する論文(PLoS ONE, 2010, 5, e11113)を参照して分裂酵母野生株上清の超遠心分画を行い、沈殿物の単離を複数回試行しているが、明確な沈渣は検出できていない。 適応生育の記憶維持に関与する因子を同定するために、NSF存在下で適応生育したeca39Δ株、継代培養しても適応生育の記憶が保持されているeca39Δ株およびヒストンアセチル化酵素Gcn5の欠失変異株(gnc5Δ株)を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ、適応生育の記憶が保持されているeca39Δ株とgnc5Δ株の遺伝子発現プロファイルに類似点が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒素源シグナリング因子(NSF)の受容体および下流因子(標的分子)を同定するため、遺伝子破壊株ライブラリーからのスクリーニングを実行し、候補破壊株が得られている。物理的相互作用を検出するためのプローブ作製は、適応生育活性を確認しながら、段階的に順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、遺伝子破壊株ライブラリーを用いた遺伝的相互作用検出からのアプローチとアルキンおよびジアジリンを同時に導入したプローブを用いた物理的相互作用検出からのアプローチにより、窒素源シグナリング因子の受容体および下流因子(標的分子)の同定を試みる。プローブ分子の合成については、ジアジリンの導入位置の検討、メチルカーバメート体を参考にしてアルキン導入を検討する。また、遺伝子破壊株ライブラリーを用いて、窒素源シグナリング因子産生に関わる因子を探索・同定する。適応生育の記憶維持にプリオン候補遺伝子が関与するかどうかを、その過剰発現株や遺伝子破壊株を用いて検討する。新規の適応生育誘導因子同定については、eca39Δ株の適応生育活性を指標とした分画を実施して単離・同定を試みる。
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Research Products
(4 results)