2021 Fiscal Year Annual Research Report
環境の時刻変動への適応を可能にする植物の時計転写ネットワークの包括的な解析
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18H02136
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中道 範人 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90513440)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物 / 化合物 / 概日時計 / 転写反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度明らかとなっていたシロイヌナズナの概日時計を超長周期する化合物PAC3(BML-259)の作用機序を明らかにした。BML-259の標的を分子プローブを用いたアフィニティー精製およびプロテオミクスによって明らかにたところ、遺伝子の転写反応を担うキナーゼCDKCであった。シロイヌナズナは2つのCDKCを持っており、これらCDKCの完全なノックアウトは致死であったが、その発現抑制株は生育可能であり、かつリズムが長周期化する表現型を示した。BML-259は、試験管内でCDKC2のリン酸化活性を阻害することが判明した。別の薬剤によって、CDKCや転写反応を阻害することで、リズムが長周期した。これらの結果などから、BML-259はCDKCのリン酸化活性を阻害し、一般的な転写反応を滞らせることで、リズムを長周期化させることが示唆された。興味深いことに、動物や藻類の概日時計の周期長は、転写反応や翻訳反応の阻害では、顕著な長周期とならないことが知られている。被子植物の概日時計の周期長は、転写反応に大きく依存することが、他の生物群と比較して特徴的であることが提唱できた(Uehara et al., Plant Cell Physiology, 2022)。 さて、被子植物の概日時計の基礎研究は、シロイヌナズナを実験材料として国際的に進められてきた。この間、シロイヌナズナの時計遺伝子にたいするホモログ遺伝子の変異が、花成時期の調節を介して穀物の栽培地域の拡大に寄与してきた。これに関する最新の知見をとりまとめると共に、種を超えて頻出する遺伝子およびその変異の種類から、将来的なゲノム編集で標的とする遺伝子やその変異様式を提言した (Maeda and Nakamichi, Plant Physiology, 2022)。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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