2019 Fiscal Year Annual Research Report
コレラ菌NADH-ユビキノン酸化還元酵素の阻害剤抵抗性メカニズムの解明
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18H02147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三芳 秀人 京都大学, 農学研究科, 教授 (20190829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Na+-輸送性NADH-キノン酸化還元酵素 / コレラ菌 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Na+-NQR を機能性分子で化学修飾するという有機化学的手法を基盤にして、どう酵素のコンフォメーション変化を直接的に観察する2つの実験系を確立し、「Na+-NQRの動きと抵抗性」の関係を精査することによって、本酵素特有の抵抗性獲得メカニズムの解明を目指す。本年度は、強力な阻害剤であるオーラシンを鋳型として、ligand directed N-acyl-N-alkyl sulfonamide chemistry(LDNASA化学法)に用いることが可能なプローブ分子を合成した。このプローブ分子を用いて野生型酵素のNqrBサブユニットの求核性アミノ酸残基に対してアジド基を導入することを実施した。導入したアジド基は、二次タグを導入するための化学修飾の足場として利用する。
具体的には、オーラシンの側鎖部分にアジド基を有するN-acyl-N-alkyl sulfonamide基を導入する分子プローブを合成した。本プローブはコレラ菌Na+-NQRに対して高い結合親和性(高い阻害活性)を持つことを確認した。合成した分子プローブを単離したNa+-NQRに作用させてLDNASA化学法を実施した。その結果、本法では約10分以内で標識が完了することがわかった。これまでのトシル化学法に比べて大幅な時間短縮が可能となり、単離酵素が凝集してしまうという問題点を解決できた。標識したNa+-NQRに蛍光プローブTAMRAを結合させて目印とし、ペプチドマッピングしたところ、NqrBサブユニットのN末端部分(サイトゾル側に突き出した部分)にアジド基が導入されていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Na+-NQRの化学修飾法としてトシル化学法に拘ったために2019年度は予想外の遅れを取った。トシル化学法に代わって、LDNASA化学法で化学修飾できる可能性が見えて来たため、2020年度には更に研究を加速する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
LDNASA化学法でアジド化したアミノ酸残基を、LC-MS/MS解析で決定することが最優先課題となる。LDNASA化学法でNa+-NQRを特異的に化学修飾できることがわかったため、アジド基に代えてCu+-freeクリックケミストリーが使えるシクロプロパン基を酵素に導入する。プロパン基を反応起点とするCu+-freeクリックケミストリーによってビオチンを接続し、別途調製する金ナノ粒子をビオチンに接着させる。 金ナノ粒子を接着した酵素をガラス基板に固定し、超高速カメラと組み合わせたレーザー暗視野顕微鏡による1分子計測に持ち込む。これにより、ターンオーバー中のNqrBの動きを反映した金ナノ粒子のゆらぎを1分子レベルで解析する予定である。
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Research Products
(1 results)