2019 Fiscal Year Annual Research Report
機能性食品成分の腸管シグナル制御を介した作用機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
18H02150
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
井上 順 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (70323962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 春彦 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, プロジェクトリーダー (00324509)
國澤 純 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, センター長 (80376615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スルフォラファン / 脂質代謝 / SREBP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生理作用を有する機能性食品成分の作用点を分子レベルで解明することを目的としている。糖質・脂質・タンパク質(ペプチド)などの栄養素が腸管細胞に認識され、消化管ホルモン分泌を介して全身性作用を発揮することは広く知られているが、個々の機能性食品成分が腸管細胞に特異的に認識されるかどうかについては、ほとんど明らかにされていない。本研究では、昨年度に引き続き、食品成分の「腸管への直接作用」や「腸管を介した間接作用」に加えて、「標的臓器へ直接作用」を明らかにすることで、生体の食品成分認識メカニズムの解明を目指した。申請者はこれまでに、ブロッコリーから精製されるスルフォラファンが脂質代謝制御を担う転写因子SREBPの活性を抑制することを明らかにし、その作用機能の解析を行ってきた。また、肥満モデルマウスへのスルフォラファンの投与が抗肥満作用や抗脂肪肝作用を発揮することを示してきた。そこで、本研究ではスルフォラファンの分子標的の探索を目的とした。 ・細胞内の標的分子を介した作用 スルフォラファンの処理によってたんぱく質分解の目印となるユビキチン化が亢進する候補たんぱく質を、TR-TUBE法および質量分析法を用いて同定した。現在、スルフォラファンが候補たんぱく質の機能に及ぼす影響について解析を進めている。 ・腸内細菌叢の変化に着目した検討 スルフォラファンを肥満モデルマウスへ8週間投与し、腸内細菌叢の変化について解析を行っている。現在、飼育が終了し、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに進展している。現状は新型コロナの影響で研究が行えず、インパクトのある成果を目指すためには、一刻もはやい研究の再開が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、食品成分の「腸管への直接作用」や「腸管を介した間接作用」に加えて、「標的臓器へ直接作用」を明らかにすることで、生体の食品成分認識メカニズムの解明を目指す。研究計画の変更は行わない。 ・細胞内の標的分子を介した作用 昨年度の結果から、ブロッコリーに含まれる「スルフォラファン」の処理によってユビキチン化が亢進する候補タンパク質を質量分析により選別した。本年度はそれらの候補タンパク質が発現が実際に「スルフォラファン」処理に応答するか解析を行う。 ・腸内細菌叢の変化に着目した検討 昨年度の結果から、「スルフォラファン」の摂食により腸内細菌叢に変化が起きることを明らかにした。本年度は、「スルフォラファン」摂食による肥満抑制作用に腸内細菌叢の変化が関与するかどうかについて、抗生剤の同時投与による検討を行う。
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Research Products
(6 results)