2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of chronic inflammation in aging and adipose tissues via the intestinal immune system by food
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18H02152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八村 敏志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40238019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 はるよ (中嶋はるよ) 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (20595962)
宮川 拓也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50596559)
細野 朗 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70328706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食品 / 腸管免疫系 / 慢性炎症 / 加齢 / 脂肪組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)腸管免疫系と加齢性炎症、脂肪組織の炎症のクロストークの解明:高脂肪食摂取マウスの腸管においては、マクロファージを集積させるケモカインCCR2の発現が上昇することが確認された。 2)食品の腸管免疫系を介した加齢性炎症・脂肪組織における炎症抑制と機構解明:これまでに、特定の乳酸菌株の菌体が、腸管免疫系樹状細胞の培養においてIL-10産生を誘導することを明らかにしてきた。そこで乳酸菌の経口投与による腸管免疫系における効果を検討した。その結果、本乳酸菌株を投与したマウスでは腸管樹状細胞のIL-10遺伝子相対発現量が増加していた。これらの結果から、本乳酸菌株の経口摂取により、腸管樹状細胞のIL-10産生が誘導され、抗炎症効果が発揮される可能性が示された。また、これまでに、β-elemeneの経口投与により、腸管において、Foxp3+制御性T細胞が誘導されることを明らかにしていたが、これはβ-elemeneが腸管樹状細胞の制御性T細胞誘導因子発現を増強するためであることが示された。 3)食品による、食物アレルギーモデルマウス、代謝疾患、加齢性炎症疾患モデルの炎症抑制:T細胞抗原レセプタートランスジェニックマウスに抗原を経口投与する実験系において、加齢により制御性T細胞誘導が低下したが、レチノイン酸を投与することにより、部分的に回復することを見出した。この結果は、加齢マウスにおける腸管樹状細胞のレチノイン酸産生能の低下がもたらした制御性T細胞誘導が回復したためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
肥満状態における慢性炎症を腸管免疫系を介して抑制できる食品成分を明らかにし、さらに、それが腸管樹状細胞の制御性T細胞誘導因子の発現を増強するためであることを明らかにすることができた。また、乳酸菌の経口摂取が樹状細胞のIL-10を誘導することも示すことができた。さらに、加齢マウスにおける制御性T細胞低下が、腸管樹状細胞のレチノイン酸産生能の低下によるものであることを示す結果が得られた。以上の興味深い成果が得られ、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は腸内細菌と腸管上皮細胞を中心に解析を進める。具体的に、加齢・高脂肪食マウスにおいて、腸管上皮細胞の遺伝子発現解析、腸管における腸内細菌解析、メタボローム解析を行う。食品素材と腸内共生菌の協調作用について、細胞応答やメタボローム解析により検討する。
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