2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis underlying regulation of synapse-related protein expression and higher brain functions by maternal protein nutrition.
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18H02158
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古屋 茂樹 九州大学, 農学研究院, 教授 (00222274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達期 / タンパク質栄養 / 子宮内発達不全 / 脳機能 / モノアミン / セロトニン / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、行動異常を呈す雌性制限群脳ではmiRNA-Xとその標的遺伝子、さらにセロトニン代謝変化と受容体遺伝子発現変化を同定できたことから、制限群における広範囲に及ぶmRNA発現変化が予想された。その全容を理解することを目的に、2021年度は次世代シークエンサーを用いて大脳皮質RNA-seqデータを取得し、生物情報学的な解析を行った。その結果、17,000個の遺伝子から、482個の遺伝子について統計学上有意な発現差を検出した。これらdifferentially expressed genes (DEGs)について、エンリッチメントならびにパスウェイ解析を行うと、雌性制限群の統合失調症行動異常に対応した感覚情報やエストロゲンホルモンシグナル経路へのDEGsのエンリッチメントが検出された。また、個別の遺伝子に着目すると、葉酸やアミノ酸の輸送体、細胞内エネルギー状態により活性が制御されるリン酸化酵素、加齢脳の炎症反応に関わるシグナル伝達分子の受容体などについて、雌性制限群での顕著な発現変化をQRT-PCRにより確認した。さらに、哺乳類の社会性行動制御に関わるオキシトシンの発現変化について、雌雄で性的二型性を示しており、雄性制限群では増強、雌性制限群では減弱の方向に変化していることを見いだした。また、セロトニン受容体について、QRT-PCRで脳内mRNA発現が検出可能であった9種のうち、雌性制限群大脳で6種が有意に発現変化しているが、海馬を含む他領域では変化していないとの、顕著な領域差を呈することを明らかにした。今回発現変化を見いだしたセロトニン受容体の拮抗薬が統合失調症の症状を改善させる作用を持つこと、オキシトシンの補充療法によっても同疾患の症状が改善することから、雌性制限群におけるこれらの脳内分子発現変化は感覚情報フィルター機能異常に関わる機序の一端をなすものと推定された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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