2019 Fiscal Year Annual Research Report
栄養・感覚・生体調節の食シグナルの統合・脳内認知機構の解析
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18H02160
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中島 健一朗 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 准教授 (70554492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Hypothalamus / Apptite / Taste |
Outline of Annual Research Achievements |
食物は栄養・味覚・生体調節の3つの機能を併せ持つ。しかし、これまで各因子は独立に研究されてきた。このため、これらを統合しなければ分からない課題、例えば栄養状態や体調の変化により味の感じ方が変わる原因は未だに不明である。例えば、空腹のときの方がそうでない場合と比べ、甘味に対してより敏感に感じられるということは経験的には知られているもののそのメカニズムは不明である。本研究では最新の神経科学的手法によりマウスの摂食中枢の神経活動を制御し、いわば人工的に満腹・空腹状態を再現することで味の感度・閾値や食の嗜好性が変化するかどうかを検証する。また、そのような変化を引き起こすメカニズムの解明を目指す。 これまでに視床下部の摂食亢進神経(アグーチ関連ペプチド産生神経、AgRP神経)が空腹時に活性化し、外側視床下部を中継点とすることで、味覚を調節することを見出していた。そこで、2019年度は外側視床下部の神経が脳のどの部位と神経ネットワークを形成して味覚を調節するかをさらに検証した。抑制型DREADD受容体を外側視床下部興奮性神経に導入し、その複数ある投射先を1か所ずつ抑制して味覚嗜好性に及ぼす影響を検証した。その結果、好ましい味の場合は不安中枢として知られる外側中隔核、苦味など不快な味の場合は外側手綱核に作用して味覚を調節することが判明した。また、それぞれの部位に投射する外側視床下部の神経は異なる神経細胞であることがわかり、好きな味と嫌いな味で、異なる神経ネットワークを介して味覚が調節されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床下部の食欲中枢神経を起点とした味覚調節神経ネットワークの特定に成功し、その成果を論文としてまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
味覚感受性に影響を及ぼす神経の活動をイメージングにより測定し、特に肥満や糖尿病など疾患時に味覚に対する応答に変化が生じるかを検証する。
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[Journal Article] Hypothalamic neuronal circuits regulating hunger-induced taste modification2019
Author(s)
Fu O, Iwai Y, Narukawa M, Ishikawa WA, Ishii KK, Murata K, Yoshimura Y, Touhara K, Misaka T, Minokoshi Y, and Nakajima K
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 4560
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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