2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of roles of nuclear actin family in the maintenance of genome stability and operation of their functions using peptides
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18H02164
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 昌彦 東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 邦史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90211789)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アクチンファミリー / ヒストンバリアント / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
核内でゲノムDNAはヒストンと結合してクロマチンを形成し、その構造によってゲノム機能が制御されている。クロマチン構造は様々な要因によって調整を受けているが、その一つであるヒストンバリアントの機能が注目されている。ヒストンバリアントは、通常のヒストンに相同性を有する一群のタンパク質であり、その中でもH2AヒストンのバリアントであるH2A.Zは、進化的に保存されている。H2A.Zは多くの遺伝子の環境に応答した転写制御に関与しており、その機能の異常が、ヒトでは細胞がん化に関与することも示されている。しかし、H2A.Zの導入や排除の機構については、不明な点が多く残されている。これまでに我々は、核内のアクチンファミリーがこれらの機構に関与することを見出し、さらに解析を進めている。脊椎動物のChIP-seq解析に先立って、出芽酵母を用いてH2A.ZのChIP-解析を行ったところ、アクチンファミリーに加えて、H2A.Zの存在自体が、細胞分裂後のH2A.Zの導入に強く影響することが示された。また、アクチンファミリーに特異的に結合する二重環状ペプチドを利用した解析により、H2A.Zの排除に関わるINO80クロマチンリモデリング複合体の機能において、その構成因子であるアクチンファミリーArp8が同複合体のクロマチンへの結合に関与することが示された。一方、同じく構成因子のアクチンファミリーArp5はクロマチンへの結合には関与しないなど、これらのアクチンファミリーの機能の差異を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の影響を受け、一部予定していた測定ができないなどの問題も発生したが、脊椎動物細胞に先立って行った出芽酵母H2A.ZのChIP-seqによってH2A.Z導入に関与する要因が解析できた。さらに、核内のアクチンファミリーに特異的な二重環状ペプチドを用いた解析が順調に行えた点などを考慮して、本研究は現在までおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、H2A.Zの導入部位のゲノムワイド解析をさらに進め、これに関連する因子の同定も進める。また、これまでの研究によってアクチンファミリーに特異的な二重環状ペプチドの有用性が示されたため、他の二重環状ペプチドも利用して、さらに解析を進める。
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Research Products
(19 results)