2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of major quantitative trait loci determining the wide range of seed dormancy levels in barley
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18H02183
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中村 信吾 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主席研究員 (20343965)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オオムギ / 穂発芽 / 種子休眠 / 量的形質遺伝子座 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの休眠性の非常に強い祖先型野生オオムギ系統「H602」と休眠性をほとんどもたない醸造用オオムギ品種「関東中生ゴールド」の組み換え近交系統を用いた種子休眠性のQTL解析より、2つの主要な種子休眠QTL Qsdw-5H 及びQsd2-OKを見いだしている。本研究は、これらQTLの精密マッピングを進め、原因遺伝子の単離を目指すことを目的とする。 Qsdw-5Hに関しては、RIL4013とRIL4058を交配して作出した現材料では、後代の成育不良等のため、後代検定のデータが十分に得られず、これ以上マッピングを進められないことが明らかになったので、本年度は、Qsd2-OKの解析に集中することとした。 本年度は、Qsd2-OK領域のさらなる絞り込みのため、F2世代3000個体を解析して、絞り込んだQsd2-OK領域1Mbpの領域内で組み換えが起きた36個体得ることができた。Qsd2-OKの有力な候補遺伝子MKK3遺伝子の近傍約25kbの領域にも、5個体の組み換え個体を見つけた。その5個体を含む、13個体の組み換え体を選び、後代の種子を100粒ずつ2021年秋に播種し、QTL近傍のマーカーで各個体の遺伝子型の調査を行った。今後は、2022年6月に種子を収穫、発芽試験を行いマーカーと発芽率の対応関係をみること、ならびに、最近更新されたオオムギ品種「Morex」の参照ゲノム配列ver.3を用いて新規マーカーを作出、得られた組換え個体の組み換えのポイントを絞り込むことで、Qsd2-OK領域をさらに絞り込む予定。 一昨年末頃に次世代シークエンサーにより得られた発現データの解析は、時間がとれずすすんでいない。今後、先進ゲノム支援に申請するなど解析環境を整えて、発現差のある遺伝子リストの作成など解析を進めQTL領域との対応関係についても解析する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、Qsd2-OK領域のさらなる絞り込みのための材料を作出することができた。F1種子の次世代シークエンサーによるRNAの発現データの解析については、先進ゲノム支援に申請するなど専門家の方々の協力を得て進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られたQsd2-OKの組み換え個体の後代検定を行い、精密マッピングを進める。後代検定と今後作出する新規マーカーによる組み換えポイントの解析の結果、Qsd2-OK領域が数kbに絞り込まれた場合は、当該領域の「H602」と「関東中生ゴールド」のゲノム配列の比較を行い、原因となる配列多型の解析を進める。RNA-seq法によりこれまでに得られた発現データも利用して祖先型野生オオムギの非常に強力な種子休眠性に関わる遺伝子の探索も進める予定。
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