2019 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄異株アスパラガスにおける間性株出現の分子機構とその育種的利用
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18H02192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 明 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (10260449)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アスパラガス / 間性 / SOFF遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
①アスパラガスにおける雌蕊形成抑制遺伝子(SOFF遺伝子)の発現及び機能解析 公開されている食用アスパラガスのゲノム配列を用い、SOFF遺伝子配列を抽出した。この遺伝子配列を用いてアスパラガスゲノム内の相同配列を解析したところ、よく似た配列が2箇所見つかった。そこでSOFF遺伝子特異的な領域を特定し、その領域にプライマーを作成することで、PCRによるSOFF遺伝子の増幅を試みた。食用アスパラガス野生株(品種MW500W)2系統からゲノムDNAを抽出し、PCRによってSOFF遺伝子の増幅を試みた。その結果、野生株2系統からSOFF遺伝子を単離することに成功し、それらの一次構造を決定した。 ②間性株におけるSOFF遺伝子の発現と構造解析 これまで数年間、間性株は安定して結実したが、昨年度および今年度は春から秋にかけ全ての間性株系統においてほとんど着果しなかったため、花の形態比較ができなかった。ポット栽培における土などの条件は変えていないので、おそらく今年度の気象条件が影響したものと考えられた。遺伝子の単離に関しては、間性株4種類12系統からゲノムDNAを抽出し、PCRによってSOFF遺伝子の増幅を試みた。その結果、間性株12系統からSOFF遺伝子を単離することに成功し、それらの一次構造を決定した。これらのアミノ酸配列を比較した結果、野生株と間性株には大きな違いがなく、一次構造には遺伝子の機能に影響を及ぼす変異はみられなかった。 ③近縁種ハマタマボウキとの種間雑種後代を用いた間性原因遺伝子の特定 間性株(XY)と近縁野生種ハマタマボウキの雌株(XX)の種間雑種,並びに間性株(XY)と食用アスパラガスMW500Wの交配後代を播種し、それぞれ42個体、92個体が得られた。個体が小さいため、これらの個体は開花せず、花の形態はまだ観察できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様に、間性株系統にほとんど着果がみられなかったため、間性株の花芽を用いる研究が進められなかった。気象条件や個体の生育状態によるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
間性株系統を株分けすることによって個体を増やすことができたので、異なる環境下において花芽の形態を観察すると共に、着果状況を確認する。着果した株の花芽を用いて遺伝子発現解析を進める。
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