2020 Fiscal Year Annual Research Report
温帯落葉果樹休眠芽における情報伝達機構の解明-ROSの機能とその制御-
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18H02193
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菅谷 純子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90302372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬古澤 由彦 筑波大学, 生命環境系, 助教 (90361310)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 果樹 / 休眠 / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、温度条件による休眠期の酸化還元状態の変化について明らかにするため、異なる温度条件下での二ホンナシ花芽の生理状態について分析を行った。 具体的には、低温条件、高温条件、変温条件などに置いた二ホンナシ花芽における過酸化水素含量の変化と萌芽との関連について調査するため、自発休眠前の花芽を含む枝を10月に慣行栽培を行っている露地栽培の二ホンナシ‘豊水’をより採取し様々な温度条件に遭遇させるため、温度制御装置付きのインキュベーター内に水に差して静置した。変温条件下に置いた枝については、150時間ごとに低温と高温とに移動させた。花芽は、それぞれの区から150時間ごとにサンプリングして、実験を行うまで―80℃にて保存した。過酸化水素含量については、花芽全体を破砕して定法にて定量を行った。萌芽率については、それぞれ、異なる温度条件下で置かれた花芽の萌芽率について、10月にサンプリングした枝を経時的に高温に移動させることにより確認した。過酸化水素含量については鱗片を含めた花芽全体で行った。 その結果、低温遭遇に伴い過酸化水素量に変化が見られたものの、萌芽率との関係は明らかではなく、花芽全体の酸化還元状態では自発休眠の深さを説明することができなかった。また、休眠打破剤に対する影響をそれぞれの温度条件下に置いた花芽で検討したところ、温度遭遇条件によりシアナミドに対する応答が異なることが明らかになった。その他、花芽からのmRNA抽出条件および植物ホルモン含量の変化についても前年度に引き続き検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析機器などの設備に故障が生じたことや、他の機器の準備が遅れるなどして分析が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、休眠期に二ホンナシの花芽が遭遇する温度条件が花芽における植物ホルモン含量、休眠関連遺伝子などの遺伝子発現の変化に与える影響について検討する。 ROSに関する実験については、過酸化水素量の変化だけでなく、酸化還元に関する酵素遺伝子や一次代謝に関する遺伝子発現についても検討する。
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