2018 Fiscal Year Annual Research Report
Genome-wide model to regulate the wide diversity of fruit shape in persimmon
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18H02199
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 剛士 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (50611919)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 倍数化 / GWAS / ゲノム進化 / 果実 / カキ |
Outline of Annual Research Achievements |
果実形・果実成熟期に対して幅広い多様性を示すカキ品種192品種およびカキ属近縁野生種3種に対して、経時的な果実サンプリングを行い、果実形の変化パターンをSHAPEを用いたフーリエ記述子の主成分得点に変換した。すべての品種・系統からDNA抽出を行い、ddRAD-Seq解析を行った。現在、各種フィルタリングを行った全ゲノムジェノタイプデータを作成中である。 また、約150品種のカキ果実に関して、縦断面の形状の第一主成分が成長第一期に同調すること(Maeda et al. 2018) をもとに、この時期の果実トランスクリプトームデータを取得し、果実形状変化に伴う発現変動解析(DESeqおよびEdgeR)およびWGCNAを用いた共発現ネットワーク解析を行った。果実形をカキ品種特異的に制御していると考えられた遺伝子群について、そのオーソログ群を様々な作物種から同定し、データベースに登録されているトランスクリプトームデータに基づく植物種間における果実相同器官での発現比較解析を行った。 この結果、KNOX遺伝子ファミリーに含まれるKNAT1を中心としたモデル植物群では葉の形態形成に関与する因子群が、カキ属では特異的に果実成長期に発現していることが明らかになった。このファミリーの遺伝子群は単系統としてカキを含む植物種群に保存されており、進化速度も遅いことからtrans機能の保存性は高いものの、発現パターンにおける多様化が進んでいることが示唆された。共発現ネットワーク解析より、果実におけるKNATの発現の多様化と、それに影響されるSTK1を中心とした制御系の変化がカキ品種における果実形多様化の一端を担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノムワイドジェノタイピングの基礎データとなるddRAD-Seqを完了することができ、今後、このジェノタイプデータに基づくGWAS解析や集団遺伝学的観点からの構造解析・selective sweep解析などを行うことが可能になった。 トランスクリプトームデータの共発現ネットワーク解析からカキ品種に特徴的な果実形多様性を制御する経路の一端を明らかにすることができた。他科植物種における果実発現データとの比較から、この制御系はカキ属に特異なものであると考えられ、系統特異的な発現ネットワークの変化がそれぞれの種に特異な形質多様性を担っている可能性を示唆するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年得られたddRAD-Seqデータに基づき、カキ品種の全ゲノムワイドジェノタイピングを行う予定である。栽培ガキは同質六倍体であるため、遺伝子型決定に倍数体用の基準を設け、二値および量的遺伝子型を決定する。このデータをもとに集団構造解析を行い、フーリエ記述子の主成分得点によって表現した果実形値と連関した遺伝子座を同定するためのGWAS解析や量値ジェノタイプを用いた線形相関解析を行う。また、本年、トランスクリプトームデータから得られた共発現ネットワークデータと、来年度に行うGWAS解析から得られる遺伝的要因に関するゲノム領域のデータを統合するアルゴリズムCAMOCOの検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)