2019 Fiscal Year Annual Research Report
1細胞レベルにおける宿主植物-一次寄生菌-二次寄生菌3者系相互作用の分子機構解明
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18H02205
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 健太郎 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40570750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八丈野 孝 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (10404063)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1細胞 / RNA sequencing / レーザーインジェクション / うどんこ病菌 / オオムギ / コムギ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1細胞レベルによる実験手法 (1) 1細胞RNAシークエンス法(2)レーザーインジェクション法をムギ類うどんこ病菌に感染したムギ類植物細胞へ適用することを目的にしている。そして、最終的に宿主細胞の受容性と拒否性の分子機構を迫ることを目的にしている。平成30年度には、ムギ類うどんこ病菌が感染したパンコムギとオオムギの単一細胞層のマイクロキャピラリーを利用して核からmRNAを抽出し、RNAシークエンス解析するところまで至った。また、レーザーインジェクション法の技術開発では、細胞を殺すことなく蛍光標識物質等をインジェクションすることに成功することができた。平成31年度では、1細胞RNAシークエンスの標的細胞群を絞りこむために詳細な細胞学的実験を実施し、オオムギうどんこ病菌が2次吸器形成するタイミングを明らかにすることができた。うどんこ病菌を事前接種した細胞に別のうどんこ病菌を接種する技術を確立するために、うどんこ病菌の分生胞子を自在に操るために必要なマイクロキャピラリーの形状について検討し、必要な形状について把握することができた。 レーザーインジェクション法によりインジェクションする場合、安定して細胞壁を貫通できることはもちろん、マイクロピペットの先端径を可能な限り細くすることで細胞へのダメージを最小限に抑えることが重要である。そこで、先端部分のシャンクを太く短く折れにくい形状にして低侵襲性のマイクロピペットを作製する方法を考案した。精製した蛍光タンパク質(GFP及びmCherry)をオオムギ子葉鞘表皮細胞に導入したところ、破裂せず、原形質が流出することもなく、細胞が蛍光を発することを確認できた。また、細胞に導入したGFP(27 kDa)が近隣の細胞へと拡散する様子が観察されたことから、エフェクターのような分子量の小さいタンパク質も同様に拡散する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コムギうどんこ病菌、オオムギうどんこ病菌、エンドウうどんこ病菌をパンコムギとオオムギの単一細胞層に感染させ、マイクロキャピラリーを用いて、感染細胞の核を抽出する試みを実施している。Single Cell RNAシークエンングライブラリーの作成において、Kubo et al. 2019 Nucleic Acids Res.では、DNA配列の断片化に超音波によって断片化させるコバリスを使用しているが、DNA断片化酵素による断片化について検討している。また、ライブラリーのサイズセレクションについても磁性ビーズを用いた手法について検討している。親和性菌を事前接種した細胞に非親和性菌を接種する技術、非親和性菌を事前接種した細胞に親和性菌を接種する技術を確立するために、マイクロキャピラリーの形状について検討し、分生胞子を取る形状を明らかにした。しかし、成功率が低いので、更なる改善が求められる。 丈夫で低侵襲性のマイクロピペットを作製するために、ピペットプラーP-1000IVF(Sutter社製)を用いて、ガラス管の加熱温度、加熱時間調節、張力、冷却時間を詳細に設定することで、シャンクが太く短く先端径が1 μm以下の細いマイクロピペットを作成することができた。開発したマイクロピペットを用いて精製した蛍光タンパク質をインジェクションすると、蛍光が確認できる場合と消失する場合があることが分かった。蛍光が確認された場合のインジェクション部位を調べると、核の付近であることに気づいた。子葉鞘表皮細胞はほぼ液胞に占められており、マイクロピペットを挿した際に液胞に到達してしまったために、その低pH環境(pH5-6)が原因で蛍光が消失したと考えられた。核の付近であれば、液胞膜との間にスペース、つまりインジェクション可能な細胞質領域が十分にあるため蛍光タンパク質の導入が成功しやすいことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、以下の2項目について研究を推進して行く予定である。 (1)オオムギうどんこ病菌をオオムギ単一細胞層に接種し、受容性が誘導される時期に付着器下の宿主1細胞と周辺細胞からそれぞれRNAを抽出し、Single Cell RNAシークエンス法によるトランスクリプトーム解析を実施する。また、2次付着器が形成されるタイミングでもSingle Cell RNAシークエンスを実施し、1次付着器と2次付着器が形成下の宿主細胞の遺伝子発現の違いの有無を明らかにする。また、エンドウうどんこ病菌をオオムギ単一細胞に接種し、拒否性が誘導される時期に付着器下の宿主1細胞と周辺細胞のSingle Cell RNAシークエンスを実施する。 (2)エフェクタータンパク質を任意の細胞にインジェクションし、受容性が誘導されるか、また、周辺細胞へ伝播するかを調べる。予備的な実験から27 kDaのGFPが周辺細胞へ拡散する現象を観察しているため、候補の中でもサイズの小さいエフェクター(APEC3: 14.5 kDa, APEC12: 15.9 kDa, APEC13: 17.2 kDa)から優先して解析する。これらのエフェクターについては、大腸菌での発現に加えベンサミアナでの発現も試み、真核生物型のタンパク質のフォールディングや翻訳後修飾に留意しながら取り組み、精製してインジェクションする。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Gene expression dynamics of the obligate filamentous pathogen Blumeria graminis and its host plant under the field environments2019
Author(s)
Kentaro Yoshida, Naoko Mizoo, Kazumasa Wakamori, Kaori Oikawa, Hiroki Yaegashi, Satoshi Natsume, Aiko Uemura, Akira Abe, Ryohei Terauchi, Hiroshi Mineno, Shigeo Takumi
Organizer
IS-MPMI XVIII Congress
Int'l Joint Research