2018 Fiscal Year Annual Research Report
Virulence mechanism of rice sheath blight -Identification of effectors-
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18H02206
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
能年 義輝 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (70332278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津下 誠治 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10254319)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 紋枯病菌 / エフェクター / 感染生理 / ミナトカモジグサ / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、紋枯病菌の感染過程初期で発現する病原性関連遺伝子群を検出するという目標達成のため、モデル植物であるミナトカモジグサを用い、侵入菌糸をできるだけ多く回収するための同調感染系を確立した。そして、菌接種後の葉身を経時的にサンプリングし、表面の菌糸を除去した後にRNAを抽出した。菌の18SrRNAの定量RT-PCR解析により、菌由来のRNAは菌接種6時間後から検出できることを明らかにした。次に、紋枯病菌のゲノム情報から分泌型エフェクター様タンパク質候補をバイオインフォマティクス手法により同定した。そしてこれらの候補遺伝子のうち、63個が実際に感染過程で発現していることを確認した。これらはその発現プロファイルから7個のクラスターに分類され、感染初期に発現するものとして14個が特定された。これらの遺伝子産物は感染の活物寄生ステージを成立させるために重要な役割を果たしていると予想されるため、今後の機能解析を行う。 エフェクターの機能解析法として、病原細菌を用いる方法を検討した。まず、紋枯病菌に対して罹病性、抵抗性を示すミナトカモジグサの両アクセッションについて、日本産イネ白葉枯病菌を接種した。葉内の細菌増殖が検出され、両アクセッションは一定の感染性を示した。しかしその菌体増殖の程度から、両アクセッションは紋枯病菌に対する感受性とは逆の性質を示すことが確認された。抵抗性系統では罹病性系統に比して菌接種後のジャスモン酸応答性遺伝子発現が有意に上昇しており、抵抗性反応が誘導されていると考えられた。また、エフェクターとアデニレートサイクレース(Cya)を融合したキメラマーカー遺伝子を保持する菌を接種したところ、接種葉においてcAMP生成が検出された。この反応は菌のhrcV変異体で消失したため、III型分泌系依存的にエフェクターが宿主細胞内に輸送されていることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌接種葉に含まれる微量な菌由来RNAを検出する方法として、当初RNA-seq法を計画していたが、検出感度や条件検討にかかる予算を考慮して定量PCR法に切り替えたため、時間を多く要したが、本年度の目標は十分に達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、白葉枯病菌に同定した紋枯病菌のモデル感染系を用い、同定したエフェクター候補遺伝子を一つずつ細菌での分泌型になるように導入して保持させ、その病原性(菌増殖)に与える影響を調べることで、病原性機能を定量評価する。また、この手法により、紋枯病抵抗性を示すミナトカモジグサアクセッションが認識しているエフェクタータンパク質の同定も行う。実験がうまくいかない場合には、エフェクター候補遺伝子を植物で一過的に発現させることにより、病斑(壊死)誘導に関わる遺伝子群を同定する。
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Research Products
(8 results)