2018 Fiscal Year Annual Research Report
Transmission mechanisms of a novel clade of bacterial endosymbionts of the coconut beetle that manipulate host reproduction
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18H02207
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高野 俊一郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (90725045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 みどり 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20294910)
古屋 成人 九州大学, 農学研究院, 教授 (10211533)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞質不和合 / 共生細菌 / 侵入害虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ココヤシの侵入害虫キムネクロナガハムシには細胞質不和合(CI)を引き起こすボルバキア様新規細菌が感染することが知られている。この細菌が野外でどのように感染を拡大しているのかを明らかにするために、ベトナムホーチミンで野外調査を行うとともに採取したハムシの交雑実験を行いCIの強さを調査した。2019年に調査した結果、ホーチミン市北西部にはボルバキアのみに感染した個体が存在し、中央から南東部にかけてはボルバキアと新規細菌の双方に感染する個体、新規細菌のみに感染する個体、また双方に非感染の個体が存在することが分かった。ボルバキアと新規細菌双方に重複感染する個体、一方のみに感染する個体、非感染の個体を用いて交雑試験を行った結果、双方の細菌について感染雄×非感染雌の組合せで次世代のふ化率が低くCIが確認された。また、雄が双方の細菌に重複感染している場合、雌がボルバキアのみに感染していると不和合が起こるが、雌が新規細菌のみに感染している場合は起こらなかった。CIは細菌が感染雄の精子に何らかのかたちで正常な発生を妨げる修飾を行い、細菌感染雌にこの修飾を解除する鍵を与えるというメカニズムで起こると考えられている。新規細菌単独感染雌とボルバキア単独感染雄の組合せではCIが起こるため、新規感染雌はボルバキアの修飾は解除できないと考えられる。したがって、新規細菌のみに感染した雌が重複感染した雄と子孫を残したという結果は、重複感染雄がボルバキアによる修飾を受けないため起こったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムでの野外調査を実施するとともに、採取したサンプルの解析の一部を行った。室内飼育系統の一部を確立し、室内実験を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
感染の広がりを調べるため、ベトナムでの野外調査を継続的に実施する。採取したサンプルの解析を引き続き行う。共生細菌がCIを引き起こす分子的メカニズムの解明及び新規細菌の分類学的検討の基盤とするため、新規細菌の完全ゲノム配列の構築を試みる。
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Research Products
(2 results)