2019 Fiscal Year Annual Research Report
CERK1共受容体を介する植物防御と共生応答機構の解明
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18H02208
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
賀来 華江 明治大学, 農学部, 専任教授 (70409499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物免疫 / キチン / LysM受容体 / 防御応答 / 共生応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖脂質(LPS)は、リピドA、コアオリゴ糖とO-抗原多糖( O抗原 )から構成されている。我々は植物免疫に関わるイネLPS防御応答機構に関わる受容体実体を探るために、植物病原菌からLOS(リピドAとコアオリゴ糖のみを含む)を調製し、ビオチン化標識LOSを作成した。限定されたNaIO4濃度で処理したビオチン標識LOSの構造を質量分析で解析した結果、ある特定糖残基の一箇所部位にビオチンが導入されていることが明らかになった。しかし、この解析により、非標識LOSの比率が高いことが明らかになった。一方、イネOsCERK1の構造的に類似するLysM型受容体キナーゼ(LPK)の一つがキチンに対する結合能力を持つこと及び菌根菌共生能力をもつことを明らかにした。 LysM受容体キナーゼ型分子の細胞内領域における防御と共生応答のシグナル仕分けを明らかにするために、ミヤコグサ(Lotus japonicus)の根粒菌共生応答に関わるNjNFR1とNjNFR5の受容体複合体の形成に着目し、共生応答活性を保持していないがキチン防御応答活性を持つAtCERK1の細胞内領域との複合体の形成の相違をベンサミアナタバコ発現系で発現・精製した分子を用いた共免疫沈降反応(Co-IP)による相互作用解析で行った。LjNFR5とLjNFR1の複合体形成でCo-IPで得た結果を標準に、細胞外領域にLjNFR1、細胞内領域にAtCERK1であるLjNFR1-AtCERK1、及びこのキメラ分子のAtCERK1細胞内領域の特定な部分をLjNFR1型に置換・導入部位を加えた分子LjNFR1-AtCERK1mとLjNFR5とのCo-IP解析を行った。その結果、両受容体の複合体の形成は、LjNFR1の特定な細胞内構造がLjNFR5との相互作用に重要であり、その領域に共生と防御応答シグナルの仕分けに関与することが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たなLPK分子が防御と共生応答活性を持つことが明らかになり、本分子とOsCERK1の進化過程における関連性について新たな研究テーマが加わった。またビオチン化LOSに関して、ビオチンのLPSの導入条件が明らかになったことは研究において大きな進展である。今後の研究の進め方の方向性が見えるものとなった。さらに、根粒菌の共生応答に関わるLysM-受容体複合体の形成には、NFR1の細胞内領域の特定の領域が重要であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
イネリポ多糖(LPS)防御応答系に関わる受容体の実体の解明を目指すために、植物病原菌からリポオリゴ糖(LOS)を精製した。精製したLOSにビオチン化標識したビオチン化LOS(Bio-LOS)では、ある特定な処理条件で得られたBio-LOSはある糖鎖部位の1カ所にビオチンが導入されていることが明らかになったが、しかし、Bio-LOSの生成効率がかなり低いこと、と同時にフリーLOSも多く残存しているという問題が明らかになった。そこで本年度はLOSのビオチン導入効率を高めるための反応条件を詳細に検討するとともに、アフィニティークロマトグラフィーを用いたBio-LOSと非標識LOSの分離についても検討を行う。一方、CRISPR-Cas9システムによる遺伝子破壊(ノックアウト)を利用し、イネに局在するCERK1/CEBiP型分子群のそれぞれの欠損変異体を作成し、LPSに対する防御応答を指標に受容体の可能性について調べる。 イネOsCERK1と同様に構造的相同性の高いLPK分子にキチン誘導防御活性を持つLPKが存在することが明らかになり、そこでOsCERK1-CEBiP受容体複合体の形成機構の解析に、OsCERK1とLPKの二重欠損変異体の作成を進める予定である。この二重欠損変異体に,複合体形成に関わる領域とアミノ酸残基を改変させたOsCERK1のベクターの構築とそれを導入したイネ形質転換体の作出を進める。作成した変異体を用いてキチン及びLPS誘導型活性酸素の生成や防御応答に関わる遺伝子発現を指標にして、その影響について調べる。また、細胞外領域を中心に改変したOsCERK1の変異体が共生応答系に関わるかどうかについても解析を進める。
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[Journal Article] PUB4, a CERK1-interacting ubiquitin ligase, positively regulates MAMP-triggered immunity in Arabidopsis2019
Author(s)
Yoshitake Desaki, Shohei Takahashi, Kenta Sato, Kanako Maeda, Saki Matsui, Ikuya Yoshimi, Takaki Miura, Jun-ichi Jumonji, Jun Takeda, Kohei Yashima, Masaki Kohari, Takayoshi Suenaga, Hayato Terada, Tomoko Narisawa, Takeo Shimizu, Emi Yumoto, Koji Miyamoto, Mari Narusaka, Yoshihiro Narusaka, Hanae Kaku, Naoto Shibuya
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 60
Pages: 2573-2583
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] PUB4, a novel CERK1 interactor, positively regulates chitin-induced immune signaling2019
Author(s)
Yoshitake Desaki, Shohei Takahashi, Saki Matsui, Ikuya Yoshimi, Masaki Kohari, Emi Yumoto, Koji Miyamoto, Naoto Shibuya, Hanae Kaku
Organizer
International Society-Molecular Plant-Microbe Interactions XVIII congress
Int'l Joint Research
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