2018 Fiscal Year Annual Research Report
Community-based participatory research for consciousness of natural capital and networks in satoyama
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18H02227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 敬太 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80565531)
大岩 剛一 成安造形大学, 未登録, 研究員 (40309042)
下村 泰史 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (70351369)
渡部 圭一 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (80454081)
渡辺 綱男 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所, サステイナビリティ高等研究, シニア・プログラム・コーディネーター (70774553)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 里山 / 自然資本 / ネットワーク / 市民活動 / 暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の自然資本の保全・活用・評価に関する政策動向について調査・整理するとともに、滋賀県大津市の比叡山坂本、比良地域、京都市北白川を対象に地域と自然資源の関わり、道や水系のネットワークの歴史と現状、キノコ類や石材などの自然素材を活かした自然再生や共生の取組事例について調査を行った。さらに、自然資源の活用や自主防災に関する市民活動の実態ふまえ、自然資源のネットワーク化に向けて里山の大小様々な道がもつ可能性、今後の課題について考察した。その結果、対象地域の市民活動の特徴として、森林や農地、水路、河川、内湖など様々な場が対象となっていること、地点、集落、比良、比良比叡といった異なるスケールを対象にした活動があることが明らかになた。そして、石材や樹木など自然資源を活かした活動や自然再生が進展しつつあり、歴史・文化、防災の視点を活かした活動については地元が中心となる一方、水辺の活動では複数の主体間での連携がみられた。道に関する活動と今後の課題として、自然資源を横につなぐ活動が中心で、縦のつながり(湖岸から山頂)に関わる活動は限定されること、ルート設定や散策が中心で、管理体制が不十分となり、歩道のネットワーク化のための連携のあり方が不明瞭であった。河川や水路のネットワーク化は局所的となっているため、広域スケールへの展開をどのように行っていくかが検討課題になっていた。また、比良地域との比較のため、琵琶湖水源地である東近江市奥永源寺と長浜市木之本町において、谷水や井戸水などの地域在来水源の水利用の調査を実施し、その特徴、水源や水量、水質等と水利用の関係について考察した。これらの地域では、山村の暮らしが時代とともに変わりながらも今に続いており、それが景観にあらわれていること、さらに山水の多様な利用と家への引き込んだ暮らし、水利や気候や土壌等による生業の差異などが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象地とする滋賀県大津市および京都市などにおいて、分担者の専門性を生かしながら、文献レビューや現地での調査が行われ、また地元とや行政の関係者などとのネットワークを構築することができた。調査に関わる成果については、学会等で発表することができた。一方、海外事例についての現地調査や関連した国内での準備については、イギリスの研究協力者の都合や社会情勢によって実施することができず、今後の可能な時期に行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
滋賀県内の対象地を中心に、自然資本の意識化とネットワークを創出することを目指した地域参加型研究を継続し、里山における自然資本についての分析で明らかになった特性、価値および課題を地域住民が認識、共有するプログラムを段階的に提示することとし、フィールドワークおよびワークショップとして実施していく。自然資本の意識化では、自然資本に対する意識化のプロセス、意識化において重要な要因を明らかにし、自然資本に関わる現在および将来の社会的課題の解決に向けた自然資本の意識化を行う。ネットワークの創出においては自然資本をいかにネットワーク化するか、多様な道のもつネットワーク機能を分析、評価を進め、自然資本の持続的な管理、活用につなげる道筋を検討する。自然資本のネットワーク化に関する海外事例については、国際的な視点から日本の里山の自然資本の特性を評価できるよう、欧米での現地調査やワークショップを開催するための調整を進めるとともに、社会情勢の変化を踏まえながら、代替案も含め実行可能な方策を検討する。
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Research Products
(10 results)