2018 Fiscal Year Annual Research Report
タンニンの網羅的解析と遺伝子組換えによるユーカリの新規アルミニウム耐性機構の解明
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18H02246
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
田原 恒 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70445740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 秀之 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70253002)
西口 満 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353796)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルミニウム過剰害 / 加水分解性タンニン / 遺伝子組換え / ユーカリ / 酸性土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、酸性土壌で問題となるアルミニウム過剰害に強い耐性を示す。我々は、ユーカリのアルミニウム耐性機構として、根に侵入したアルミニウムを加水分解性タンニン(以下、タンニン)が無毒化するという新しい機構を提唱している。この新機構の全体像を理解するために、本研究は以下の二つを目的とする。(1)種々のタンニンがアルミニウム無毒化に果たす役割を明らかにするために、ユーカリに含まれるタンニンを網羅的に探索し、それらのアルミニウム無毒化能を調べる。(2)タンニンがアルミニウム耐性に必須である直接的な証拠を示すために、タンニン量を減らした遺伝子組換えユーカリを作出し、アルミニウム耐性を非組換えユーカリと比較する。 ユーカリの根と葉に含まれるタンニン類を、溶媒抽出法および各種カラムクロマトグラフィーによって分離・精製した。単離したタンニンの化学構造を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、ESI-HR-MS(エレクトロスプレーイオン化高分解能質量分析法)、NMR(核磁気共鳴)分光法を用いて解析した。その結果、根からは、β-グルコガリン(β-glucogallin)、1,6-ジガロイルグルコース(1,6-digalloyl glucose)、テリマグランジンI(tellimagrandin I)、ペドゥンクラジン(pedunculagin)、エノテインB(oenothein B)の5種類のタンニンが同定された。葉からは、根に含まれる5種類のタンニンに加え、ストリクチニン(strictinin)が単離・同定された。また、タンニン量が少ない遺伝子組換えユーカリの作製に向けて、ユーカリの胚軸由来カルスから植物体が再生できることを確認するとともに、ベクターDNAの作製に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、ユーカリが含む加水分解性タンニンを同定し、遺伝子組換え用ベクターDNAの作製に着手したので「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、ユーカリが含む加水分解性タンニンを定量し、タンニン生合成遺伝子の発現を抑制した遺伝子組換えユーカリの作出する。
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