2018 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of the significance of vegetation diversity in the biological production function of macroalgal beds and its improvement by ecological corridor
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18H02268
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
吉田 吾郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, グループ長 (40371968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島袋 寛盛 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (00569452)
山口 敦子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (10310658)
清本 節夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 西海区水産研究所, 主任研究員 (70371995)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 藻場 / 海藻植生 / 生態的回廊 / 生物育成機能 / 漁場 / 造成 / ホンダワラ類 / クロメ |
Outline of Annual Research Achievements |
瀬戸内海西部の広島湾および伊予灘に位置する4つの島嶼(柱島、周防大島、片島、平郡島)に調査地を設定し、天然の岩礁性藻場および投石等による造成藻場においてライントランセクト法により海藻植生の垂直分布構造を詳細に明らかにした。また、周防大島においては調査地周辺の沖出し300m、水平距離およそ3kmの範囲においてサイドスキャンソナーと魚群探知機により、藻場・投石(藻・漁)礁の分布と周辺の底質分布・海底地形を精査し、マッピングするとともに、他の島嶼の調査地における過去の類似調査データについても収集した。天然藻場の主要な底質は岩盤や大小様々の礫であり、概して水深2-3m以浅ではアカモク、ホンダワラ、ノコギリモク、ジョロモク等をはじめとする大型褐藻のホンダワラ類が、またそれ以深ではコンブ目藻類のクロメが藻場を形成していた。しかし、岩盤を主として底質が構成されている場所では、岩盤上部にクロメが、砂泥海底との境界に近い岩盤下部もしくは岩盤下部に続く礫場ではホンダワラ類が優占するなど、植生の垂直構造が逆転している場所もあった。さらに潮間帯や基質の大きさが小さい場所では、アオノリ類、シキンノリなどの小型海藻の被度も大きかった。一方で柱島や周防大島北岸等、広島湾内の調査地では深所の基質上に浮泥が堆積し、海藻植生が貧相化している場所もあった。漁業者が良い漁場として認識している場所は、藻場の規模が大きく浅所(潮間帯)から深所まで連続して海藻植生が分布している特徴があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の藻場の海藻植生や底質特性については初年度において詳細なデータが収集でき、藻場の海藻植生と磯根生物の生産との関係を解析する基盤を整備することが出来た。また、周防大島北岸については、個々の藻場だけでなくその周辺の広域にわたる地形、底質分布、藻場・漁礁分布のマップを作製した。このデータは、藻場だけでなくその周辺を利用するメバルなどの沿岸性魚類の漁場特性の解析に用いることも可能であり、データ取得は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に調査した藻場(天然・造成)において水産有用種(磯根生物)を中心とした生物相調査を行う。磯根生物の生物量と海藻植生、基質構造、水深、藻場の規模(面積)、植生多様度などとの関係を統計的に解析し、磯根生物の育成に優れた藻場の特性について予備的な解析を試みる。
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Research Products
(3 results)