2019 Fiscal Year Annual Research Report
地磁気マップを用いた深海性生物の位置測位手法の開発と回遊生態研究への応用
Project/Area Number |
18H02269
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
奥山 隼一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 西海区水産研究所, 主任研究員 (80452316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 位置推定 / 深海性魚類 / 地磁気 / 回遊 / バイオロギング |
Outline of Annual Research Achievements |
水産資源管理を行う上で、対象種の生息域や移動経路に関する情報は不可欠である。深海に生息する魚類の多くは重要な水産資源として利用されているものの、その移動・回遊に関する知見は不明な点が多い。これは、これまで水産資源の位置推定は水産資源が経験する日出・日入時刻、日長をもとに滞在位置を推定する方法が主たるものであり、光の届かない深海域における生物の位置を把握する手段が確立されていないことに起因する。本研究では地磁気と重力というこれまで用いられてこなかったセンサ情報を用いて、今まで成しえなかった「深海性生物の位置測位」を実現し、それを応用して深海性水産魚種の回遊生態解明に資することを目的とする。 令和元年度では、開発した地磁気・重力記録計の性能テストを実施した。鹿児島県沖永良部島で産卵するアカウミガメをモデル生物として、開発した地磁気・重力記録計をGPS記録計とともに装着し、産卵期間中にアカウミガメが滞在した位置を推定する実験を行った。装着した記録計は約2週間後に供試個体が再び産卵上陸した際に回収した。本実験においてまず、実験前の記録計の地磁気センサの校正が非常に重要であることが明らかとなった。地磁気データの校正後、記録された地磁気・重力データを分析したところ、概ね位置測位はできていたものの、地磁気・重力記録計のスペックによって位置測位に差がでることが明らかとなった。このため開発した記録計の改善を行い、次年度再実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、地磁気・重力センサを搭載し、長期間記録できる記録計を開発した。次いで、鹿児島県沖永良部島で産卵するアカウミガメをモデル生物として、開発した記録計をGPS記録計とともに装着し、産卵期間中の位置測位を試みている。平成30年度では地磁気センサの不具合により位置測位はうまくいかなかったものの、令和元年度ではこれらの課題を克服し、また地磁気センサの校正を厳密に行うことで、ある程度の位置測位が可能となった。このため本研究は、現在までおおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、再び鹿児島県沖永良部島で産卵するアカウミガメを対象に、改良した地磁気・重力記録計を用いて、産卵期間中のアカウミガメの位置測位を行う。合わせてGPS記録計を装着し、その推定方法の精度評価を行う。また、地磁気・重力による推定位置と、GPSによる位置(真値)の偏差を時系列的に解析し、地磁気・重力による位置推定手法を確立する。
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Research Products
(1 results)