2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation study of antifouling mechanism with natural product derivatives for development of green antifoulant
Project/Area Number |
18H02271
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梅澤 大樹 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (20503618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野方 靖行 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (10371535)
沖野 龍文 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (30280910)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 付着生物 / 天然有機化合物 / メカニズム解明 / プローブ合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、付着生物に対する2つの付着阻害活性天然有機化合物をリードとし、それらの各種プローブ分子を合成、合成したプローブ分子を用いて付着阻害メカニズムを明らかにすることを目的としている。既存の付着阻害剤は重金属を含んでおり、環境にやさしい化合物の開発が切望されている。新規付着阻害剤開発に向けた2つのリード化合物として、海洋生物から得られ、強い付着阻害活性と低毒性を併せ持つオマエザレン(含臭素化合物)とドラスタチン16(環状ペプチド)に着目した。これらは全く異なる化学構造を持つにもかかわらず、付着阻害活性を有する。このことから、メカニズムが異なっているのかにも興味が持たれている。我々のグループでは、これらの全合成経路をすでに確立しており、この合成経路を応用することで、プローブを合成する。 オマエザレンでは、合成経路をもとに各種プローブ分子を進めた。より効率的に合成できる簡易誘導体では強い付着阻害活性を維持した。しかし、プローブ化に向けて蛍光官能基をゆうする誘導体を合成したが、活性が大幅に低下した。また、異なる位置での蛍光官能基の導入も検討したがよい結果は得られなかった。このことはオマエザレン自体の構造が重要であることを示唆している。 ドラスタチン16では、プローブ合成の簡略化のために、2つの合成フラグメントの構造活性相関研究をさらに検討した。その結果、フラグメントの脂溶性を高めることで、若干付着阻害活性が低下したものの、強い活性を維持することを明らかにした。この結果は、より効果的に蛍光プローブなどの合成が可能になることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オマエザレンのプローブ合成において、合成が格段に効率的となる誘導体を見出することができたものの、付着阻害活性を維持したプローブ分子を見出せていない。プローブ官能基のサイズが大きいことが原因の一つとして考えている。一方で、ドラスタチン16では、脂溶性を向上させることで、フラグメントでも一定以上の付着阻害活性を有する誘導体を見出すことができている。現在、フラグメントにプローブ官能基を導入した複数の化合物の付着阻害活性を評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
オマエザレンのプローブ合成において、分子全体を維持した新たな分子設計によって、活性を維持したプローブ創出は困難であることがわかったので、10位以降の置換基を除去した簡略体のプローブ分子への変換も試みる。いくつかのプローブ官能基を導入した化合物を評価する。ドラスタチン16のプローブ合成においては、上述した効率的な化合物の供給が可能なフラグメントが強い付着阻害活性を示すことが分かったので、蛍光官能基や光親和性官能基などを導入し、付着阻害活性を維持したプローブ分子を創製する。その後、生きたタテジマフジツボのキプリス幼生を用いて、化合物の局在を調べる。
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