2020 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の新規性決定遺伝子同定からみえる性決定と内分泌のクロストーク
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18H02277
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 潔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (20292790)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 性決定 / 魚類 / 性決定遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
水産魚の性決定遺伝子は典型的な有用遺伝子であるが、魚種ごとに性決定遺伝子が異なることがしばしばで、他種の情報が使えないため、目的とする種の性遺伝子が知られていない場合、その特定には膨大な時間と労力を要する。この問題を解決するため、申請者は魚類の性決定遺伝子を迅速に同定するストラテジーの確立にむけた研究をおこなっている。その特徴のひとつは、解析領域をしぼることで、連鎖不平衡解析のコストを下げ、そのかわりに検体数を増やして解像度を上げることにある。本研究では、水産魚のモデルとして利用したブリ類とフグ類それぞれから、2つの性決定遺伝子(または有力な候補遺伝子)を同定することに成功し、提唱する方法論の有効性を示すことができた。
また本研究では、魚類の性に大きな影響を与えることが過去から知られている性ホルモン類に注目しつつ、上記の性決定遺伝子たちを詳細に解析することで、魚類性決定研究と魚類生殖生理学研究との間に存在するミッシング・リンク、すなわち、性決定遺伝子と性ホルモンによる情報伝達がいかに交差していくかという点を解明することも目的とした。その結果、ブリ類の性決定遺伝子産物が性ホルモン代謝能をもつことを見い出した。脊椎動物において、これまでに複数の性決定遺伝子が同定されているが、それらが性ホルモン濃度を直接制御するという証拠はなく、性ホルモンが性決定プロセスの最上位に位置するのか、それとも、生殖腺の2型維持に関わっているだけなのかが不明であった。本研究により、性決定プロセスの最上位に性ホルモンが位置する生物がいることが示された。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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