2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the impacts of cross-border e-commerce on the trade of food and agricultural products in the Asia-Pacific region
Project/Area Number |
18H02287
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
井上 荘太朗 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (50356325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 倫生 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (50392577)
伊藤 紀子 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (80751809)
小林 弘明 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (70329019)
石田 貴士 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 助教 (30623467)
森 路未央 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (20787212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 越境EC / 食料貿易 / アジア太平洋 / 中国 / 消費者調査 / 新小売 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、4月~6月に国内で越境EC事業者等を訪問して,情報収集を行った。また中国(8月、3月),及びタイ(12月)を訪問し、越境ECに関連する政府機関,民間企業等でインタビューを行った。こうした国内外での実態調査の結果を踏まえ,越境型のECを含むEC全般による食品購入意向を対象とした消費者アンケートを、オンライン調査として実施した。越境ECに関する一連の調査結果は令和元年度以降に発表する計画である。 一方,国連の貿易統計を利用した定量的分析では,産業内貿易指数分析やグラビティモデルによる分析を行い,学会発表や学会論文の投稿を行った。 その中で,タイとマレーシアにおいては、両国とも産業内貿易指数(GL指数)の趨勢的上昇を確認した。また両国のGL指数を比較すると,マレーシアは計測期間の全ての年で東アジアの平均値を上回るが,タイは逆に平均値より小さかった。そしてこの要因を品目別に分析したところ,タイでは産業用加工品(BEC121)において甘蔗糖の輸出が,また家計消費用加工品(BEC122)では精米及び加工鶏肉の輸出が日本向けに行われ、これらが一方向の貿易である影響が大きく,そのため産業内貿易の比率が相対的に低くなっていた。一方,マレーシアは,BEC121ではパーム油の影響で,産業内貿易指数が小さなり,一方BEC122では,シンガポールやインドネシアとの貿易において産業内貿易の比率が高く,シェアも大きかったため,GL指数も上昇していた。 さらにECの拡大も含めた様々な要因が,日本の農業・農村に与えている影響を分析するため,日本国内の農村地域において農村に存在する社会組織間の関係を社会ネットワーク分析を利用して行った。そして,GIAHSやユネスコ創造都市(食文化)といった国際的な認証を受けてている地域間における社会組織の組織間構造を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
越境ECに関する実態、制度及び、消費者行動について広範に情報を収集した。また貿易指数分析や農村社会のネットワーク分析もそれぞれ進展した。 まず(1)国内で越境ECを展開している唯品会,百度等の事業者を訪問し,各社の越境ECへの取り組みの情報を収集した。(2)また中国及びタイで現地調査を行った。中国では,青島,北京,広州,深セン,上海,成都,タイではバンコクにおいて越境EC及び食品小売の新動向を調査した。(3)こうした現地調査の情報を踏まえ,中国における食品の越境EC購入に関してインターネットを利用した消費者アンケートを実施した。(4)さらに貿易統計データの分析では,貿易指数分析のうち特に産業内貿易指数やグラビティモデルによる分析を深化させた。また中国の主要園芸製品の輸出データから,比較優位指数(RCA)の計測、輸出外延(EM)と内延(IM)の計測を行った。そして中国の園芸産品輸出額変化に関する要因分解分析により、日本、米国、ASEAN諸国などと中国との貿易関係の変化を考察した。(5)最後に,EC市場の成長を含む,食品消費市場の拡大と変容が,農業振興と農村開発に与える影響を分析するため,社会ネットワークを用いて農村の社会組織関係の分析を行った。 このように研究はおおむね順調に進展し,第2年度である令和元年度には、さらに分析を深化させ成果発表につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に情報収集が順調に進展したことから,令和元年度は,収集した情報の分析を中心に課題を進めることとする。特にアンケート結果の定量的な解析を重点的に行う。また中国のEC市場の急速な拡大に鑑み,令和元年度も中国での現地調査を実施し,越境ECによるフードバリューチェーン全体に対する影響を把握できるよう情報収集と分析を進める。またASEAN諸国での現地調査とアンケートの実施を検討する。
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Research Products
(29 results)