2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development and application of interactive decision support system based on Artificial Intelligence for allocation of irrigation water
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18H02295
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
加藤 亮 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10302332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 圭佑 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20432338)
福田 信二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70437771)
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)
宗村 広昭 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (90403443)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水配分 / エージェントベースモデル / 乾期 / 棚田 / 平地水田 / 労働資源 / 環境制約 |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジアの多くの地域では,各農家が不安心理からリスク管理として必要以上に多量に取水し,結果として本来配分されるべき灌漑用水が下流側に供給されない場合がある。そこで,水管理者が水配分をする際の農家との調整を助け,より良い水配分を提示するため,人工知能(AI)の一部である「強化学習」を利用し,常時情報を更新しながら,自然・社会・心理的側面を内包する対話型の意思決定支援システムの開発を目的とした。 本年度は研究対象地として,インドネシアおよびカンボジアの水田地帯を選び,水配分状況を検証した。1)インドネシアのバリ島におけるスバックと呼ばれる水配分組織について,Agent Based Modelを用いて,水配分ルールについて解析を行った。2)棚田地帯における水収支の解析を実施し,乾期の水供給状況を調査した。3)カンボジアの水配分状況の調査に着手した。4)対照試験地として国内の水田地帯である茨城県新利根川地区の水田の水収支状況を調査した。 1)については,農家の集団的な作付け時期の変更という形で水利調整がなされている現状を明らかにした。その結果を投稿論文としてまとめることができた。2)については,棚田地域特有の地下水による湧水が乾期の主要な水供給源であることを明らかにし,棚田の上下段において水配分の実態が異なることを明らかにした。3)では,カンボジアの平地水田における水配分では,ゲート操作による水位管理が重要であるが,その管理は熟練した管理者の存在が大きいものの,読み書きができないためそのノウハウの伝達が難しい状況であった。4)については,水資源の制約が少ない状況ではあるが,環境制約(水質汚濁)があるため,水配分に関連する要因がより複雑であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開始年度としては順調であり,Agent-Based Modelの開発を行った。そのモデルを用いて解析を行い論文を1本発表することができた。また,インドネシアの棚田地帯,カンボジアの平地水田の水収支解析を行い,水配分の基盤なデータの収集を行った。 次年度に対する準備をおおむね整えることができ,順調に研究を進めることができる。ただし,海外に設置しているセンサー等は,故障や盗難のリスクが高く,データの収集についてはこまめに海外に出向く必要があり,時間の制約も大きい。海外共同研究者に今以上の協力を仰ぐ必要が出てくると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
エージェントベースモデルの基盤は構築することができた。各エージェントの判断ルールは,現時点では固有のものであり,この点を今後改善していく。具体的には強化学習を導入し,各エージェントの判断を初期条件のみによらず,周囲のエージェントの意思決定の結果の複雑な組み合わせから,最適に近い解を選べるようなプロセスを埋め込む。これにより,複数の評価項目あるいは意思決定に影響を与える複数の要因ごとに重み付けを実施し,各エージェントが重要視する要因を特定していく。 このモデルを,インドネシア,カンボジア,日本の水田地帯に適用を検討する。
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