2018 Fiscal Year Annual Research Report
Is direct control of redox reaction possible? -Exploration of possibilities and limitations-
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18H02297
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大西 健夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70391638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 貴司 岐阜大学, 工学部, 教授 (00223157)
中村 公人 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30293921)
平松 研 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90271014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化還元電位 / 脱窒 / 印加 / 酸素濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌中の酸化還元電位の制御可能性を探求することを目的として、(1)印加による酸化還元電位制御の可能性の検討、(2)電極素材による酸化還元電位制御の可能性の検討、(3)印加実験における電極配置条件の相違の影響検討、(4)土壌中の酸素濃度計(蛍光式)の試作を実施した。以下に、各実施項目で得られた結果を概説する。 (1)水田土壌を充填したポットに湛水し、1.2Vの電圧印加実験を行い、土壌内の酸化還元電位を多点で計測した。その結果、電極周辺においては酸化還元電位の制御が可能であるものの、側壁に向かって制御効果が弱くなる傾向が確認され、空間的な不均一性が生じることがわかった。電極の形状、配置などに改良を加える必要性が示唆された。(2)印加とともに電極素材としてTiO2、亜鉛酸化物等を用いることにより、電極周辺に効率的に土壌溶液中のイオンを吸着させることで酸化還元電位を制御することを試みた。溶液中のイオン濃度および酸化還元電位を計測し、ある程度の効果があることを確認した。他方、(1)の実験と同様空間的な不均一性が発生しうることが示唆された。(3)電極を鉛直方向ではなく土壌中で水平方向に配置して印加した場合に酸化還元電位に及ぼす影響を検討した。土壌中で継続して計測した酸化還元電位の変動より、印加により酸化還元電位には影響が見られることは確認したが、変動特性が複雑であり、そのメカニズムの解明が求められることがわかった。(4)土壌中の酸化還元電位の降下には酸素濃度が重要な役割を果たし、酸化還元電位の空間的な不均一性にも影響があるものと考えられる。そこで光ファイバーを用いて多点で測定が可能な蛍光式酸素濃度計の試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌中の酸化還元電位の制御可能性を明らかにすることを目的として、複数の実験的アプローチをスタートさせることができた。実施したのは予備的実験の性格が強い実験が多数含まれるが、それぞれに次の検討課題が明瞭になってきたため、初年度としてはおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の実験結果を踏まえて、各実験の構成をより精緻な内容にしていくとともに、モデリングに着手する。主たる課題は、(1)印加による酸化還元電位制御の可能性の検討、(2)電極素材による酸化還元電位制御の可能性の検討、(3)印加実験における電極配置条件の相違の影響検討、(4)土壌中の酸素濃および酸化還元電位の多点計測。(5)観測データにもとづく酸化還元電位のモデリング、である。(1)、(2)に関しては、(4)の課題と関連させながら時系列で酸化還元状態が進行していく様子をモニタリングすることを通して、酸化還元電位の形成パターンとメカニズムを探っていく。(3)に関しては印加電圧や電極間の距離などを変化させて複数の電極配置パターンの中で酸化還元電位がどのように変動するのかをモニタリングすることにより一定の傾向を見つけ出したい。(5)に関しては、既存のモデルであるHydrus1D-HPの適用を端緒としてモデリングの方法論の可能性を探索する。
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Research Products
(3 results)