2020 Fiscal Year Annual Research Report
Is direct control of redox reaction possible? -Exploration of possibilities and limitations-
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18H02297
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大西 健夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70391638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 貴司 岐阜大学, 工学部, 教授 (00223157)
中村 公人 京都大学, 農学研究科, 教授 (30293921)
平松 研 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90271014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化還元電位 / 電圧印加 / 酸素濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「土壌における酸化還元反応の直接的制御は可能か?」という問いに答えることにある。土壌圏における有機物の無機化は、微生物活動が関与する酸化還元反応が中心にあり、硝酸汚染、N2OやCH4ガスの発生、脱窒等、多くの物質動態に関わっているが、これらに関与する酸化還元反応の「直接的」制御は難しかった。しかし、微生物燃料電池の原理に着想を得て申請者らが実施した実験により、酸化還元電位の直接的制御により脱窒を抑制できる可能性が見えてきた。 本年度までの研究により、電極による制御は電極周辺の局所に留まるが、局所的な変化が他のイオン種の再分布を通じて大域的な影響も及ぼし得ることもわかった。また飽和土中では速やかに酸素濃度は低下するが、不飽和土中では酸素濃度が酸化還元電位に大きく影響するため、多点計測が可能な酸素濃度センサーの開発を行い、実験室内での測定検証を行った。あわせて、あらたな電極素材の開発を行い、電極素材の周辺における酸化還元電位制御の可能性を検討した。さらに、実験でえられた結果をモデル化するために、土壌中の水・物質移動を取り扱うHydrus1Dと化学反応を扱うPHREEQ-Cを組み合わせたHydrus-HP1を用いた、酸化還元電位制御モデルの開発を開始した。これらの成果を総合すると、電圧印加により制御できる範囲は、局所的な効果にとどまらざるを得ないが、局所性をモデル化することを通じて、局所性解消のための道筋を検討することができるのではないか、ということがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定をしていた実験については、おおむね予定通りに進行しているが、モデル化の進捗が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、どのようにして局所的効果を面的に拡張できるかを検討することを、第一の課題とする。そのために、従来から用いられているHydrus1D-HP1モデルを改良する形でのモデル開発を行うとともに、あらたなモデル開発に着手した。本年度は、昨年度に着手したモデルの完成を目指す。さらに、完成したモデルを用いて、局所的効果を面的に拡張する方法を検討することを通じて、最終的に、どこまで酸化還元電位を制御することができるのか、という当初の問への答えを探求したい。以上の研究成果をとりまとめて学会発表をするとともに学術誌への論文投稿を行う。
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Research Products
(2 results)