2018 Fiscal Year Annual Research Report
豪雨と地震の複合作用下における溜池堤体の地震時挙動の解明と耐震性強化法の検証
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18H02298
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
澤田 豊 神戸大学, 農学研究科, 助教 (60631629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 明良 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (10782203)
中澤 博志 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (20328561)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ため池 / 現場計測 / 浸潤面 / 降雨実験 / 振動実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には,1)豪雨時のため池堤体内の浸潤線変化,2)堤体の締固め度が堤体内への降雨浸透に及ぼす影響,3)先行降雨がため池堤体の地震時安定性に及ぼす影響について解明することを目的に,1)実際のため池堤体内の浸潤線の現地計測,2)堤体の勾配を再現した斜面模型に対する降雨実験,3)小型ため池堤体模型を用いた1G場における降雨+加振実験を実施した.上記の検討に加え,2019年度実施予定の遠心模型実験で用いる試料土の物理・力学試験を実施した.具体的には以下の通りである. 兵庫県内にあるため池およびその堤体内に水位計を設置し,降雨時の水位変化を計測した.その結果,平成30年9月の台風時の降雨に対して,堤体内水位が最大で1m以上上昇したことが観測された.この上昇が堤体の安定性に及ぼす影響を検討するため,今後は円弧すべり解析を実施する予定である. 降雨実験については,ポンプでくみ上げた水をノズルから霧状に散水する装置を製作した.本装置による降雨強度は水圧の調整により制御され,50-200mm/h程度の降雨を発生させることが可能である.アクリル土槽(W200×L500×H200)内に締め固められた土を所定の勾配に傾け,降雨を与えた.実験中における土中水分変化,浸透水および表面流出を測定したところ,締固め度を92%とした場合,降雨のほとんどが浸透せず,表面流出として流れ出る結果となり,土の締固め度の増加は堤体内への降雨浸透を抑制する効果があることがわかった. 1G場における降雨+加振実験については,堤高50cmの堤体模型を2体作製し,一方の堤体には先行降雨を与えて,2体同時に加振した.その結果,先行降雨の有無により地震時の変形モードに違いが現れることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の当初計画で掲げた降雨実験に加えて,現地観測を行った.これにより実際のため池での降雨時の浸潤線変化を把握することができた.さらに,2019年度に予定している遠心模型実験の具体的な実験断面を計画するために,予備的な実験として1G場での降雨+加振実験を行った.このことから,現在までの進捗状況としては,おおむね順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
農研機構所有の遠心力載荷模型実験装置を用いて中規模のため池堤体を対象とした降雨+加振実験を実施し,先行降雨が堤体の地震時安定性に及ぼす影響を解明するとともに,耐震性を向上させる方法を提案し,その検証を行う.堤体材料には,農研機構所有の浅閒砂を用い,締固め度85-90%程度で堤高30cm,斜面勾配1:1.5にて作製する.遠心加速度は30Gとし,堤高9mのため池堤体を再現する.堤体の動的挙動ならびに残留変形を明らかにするため,間隙水圧、加速度,変位を計測する.また,上記の遠心模型実験に加えて,堤体内の降雨浸透を抑制する新たな方法について検討するため,追加で降雨実験を実施する計画である.
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Research Products
(1 results)