2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物工場における二次代謝制御を活用した高機能植物生産システムの開発
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18H02301
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
後藤 英司 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (00186884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 祐嘉合 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (80213528)
加川 夏子 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 講師 (60467686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人工光型植物工場 / 環境ストレス / 機能性成分 / 生理活性物質 / 生育制御 / 紫外線 / 培養液低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、紫外線(UV)および低培養液温で、生理活性物質濃度とその合成関連酵素の遺伝子発現を調査した。 播種後約42日目の食用アカジソ‘芳香赤しそ’を供試した。試験区はUV蛍光灯で栽培パネル面上のUV強度を1 W/m2 とした1W区、クーラーと温度調節器で培養液温を10 ℃とした10℃区、無処理のCont.とした。測定項目は、試験開始後3日目の地上部生体重、乾物重、3節目の本葉のペリルアルデヒド(PA)、ロズマリン酸(RA)、アントシアニン(ANT)濃度、抗酸化能(ORAC)、試験開始後0、24、48、72 hの8種類の合成酵素遺伝子の発現量を調査した。 生体重と乾物重に試験区間で差はなく、今回の条件では生育を抑制しなかった。生理活性物質濃度と抗酸化能は、1W区と10℃区でCont.より大となった。1W区と10℃区で抗酸化能がCont.より大となったことから両区でROS発生量が増加し、生理活性物質濃度が増加したと考えられた。PA合成経路では、試験期間中LIS 発現量が1W区と10℃区でCont.より小、72 hのCYP71AT146発現量が両区でCont.より大となった。よってLIS より下流のCYP71AT146発現量が高まり、3日目のPA濃度が増加したと考えられた。ANT合成経路では、48 hから72 hのPAL、CHS、F3H、DFR、ANS発現量が1W区と10℃区で増加し、72 h の発現量が両区でCont.より大となった。よってこれらの遺伝子が協調的に高発現し、3日目のANT濃度が増加したと考えられた。 以上よりUVと低培養液温で、生理活性物質濃度を増加させることができた。またこの条件で、生理活性物質の合成経路の下流で働く酵素遺伝子が高発現して生理活性物質が蓄積することや、生理活性物質の種類でUVと低培養液温が生合成へ及ぼす影響が異なることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紫外線(UV)および低培養液温で、生理活性物質濃度とその合成関連酵素の遺伝子発現を調査した結果、生理活性物質の合成経路の下流で働く酵素遺伝子が高発現して生理活性物質が蓄積することや、生理活性物質の種類でUVと低培養液温が生合成へ及ぼす影響が異なることが示された。この成果は当初の計画から考えてほぼ期待の範囲内であり、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
紫外線(UV)および低培養液温がストレス処理として有効であることが示されたので、さらなる好適条件の探索や生理活性物質の詳細な分析、および機能性の調査を進めていく。
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