2019 Fiscal Year Annual Research Report
植物‐内生分解菌による新規ハイブリッドレメディエーション創出とPOPs汚染の修復
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18H02319
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高木 和広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主席研究員 (70354074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 良太 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00635104)
清田 洋正 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (30234397)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植物内生菌 / 有機塩素系殺虫剤 / 残留生有機汚染物質 / 新規DDT分解菌 / 分解代謝物 / 環境修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度実施した、ウリ科植物内生細菌の多様性に関する研究内容をChanges in Endophytic Bacterial Communities During Different Growth Stages of Cucumber (Cucumis sativus L.)というタイトルで、World Journal of Microbiology and Biotechnologyに投稿し、受理された。また、トルコで開催されたInternational Soil Congress in Turkeyに参加し、「Temporal Endophytic Bacterial Dynamics of Cucumber; A Culture Dependent and Independent Approach」というタイトルで発表した。さらに、PCP/HCB分解菌であるNocardioides属菌PD653株については、インド(ハイデラバード)で11月に開催されたThe 9th International Plant Protection Congress (IPPC2019) に参加し、「The substrate specificity of Nocardioides sp. strain PD653 capable of degrading hexachlorobenzene」というタイトルでポスター発表した。また、今年度実施したDDT分解菌の探索によりウリ科植物の根圏土壌から分離し、選抜したStreptomyce属菌885C株については、現在、BBRCに、PD653株の脱塩素分解酵素HcbA3の生化学的特徴に関してはJSP(J. Pestic. Sci)に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、パキスタンから輸入した土壌でキュウリを栽培し、根圏土壌から根圏細菌24菌株を分離した。分離菌株のDDTs分解能を確認するため、DDTとDDDをそれぞれ5 mg/kgとなるように添加したポテトデキストロース液体培地(pH7)で14日間振とう培養した。培養後、アセトニトリルを等量添加し、前処理後にHPLC分析に供した。すると、培養14日間でDDTが84.5%、DDDが48.6%分解する菌株を見出した。シークエンス解析の結果、本菌はStreptomyces属菌であることが確認され、885C株と名付けた。885C株はDDTを分解し、DDOH, DDA, DBPを経て更なる下流まで分解することが明らかになった。Streptomyces属菌によるDDT分解経路の解明は本研究が初めてである。現在、本菌株の網羅的遺伝子解析を実施し、分解遺伝子の特定に向け、研究を実施している。一方で、ウリ科内生細菌のDDTs分解については、これまでおよそ600菌株を分解試験に供したが、分解能を有する菌株の選抜には至っていない。引き続き、選抜を続ける予定である。しかし、2015年にPOPsに登録されたペンタクロロフェノール(PCP)に関しては、ウリ科植物内生細菌からPCP分解能を有する菌株を見出した。本菌株は、PCPを培養2日間でほぼ全て分解し、Unknownの代謝物を蓄積することが確認されている。現在、Unknown代謝物の特定を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
DDT分解菌885C株については、RNA-seqの結果より、885C株の細胞内でDDD依存的に発現量が増加した遺伝子がいくつか見出されいるため、これらの遺伝子のDDTまたはDDD分解活性を異種発現系で調査する。異種発現系ではE. coli BL21(DE3)もしくはRhodococcus erythropolis L88を宿主とし、活性がみられた遺伝子に関してはタンパク質の大量発現系の構築および精製を行う。一方で、植物内生細菌によるDDT分解菌は未だ見いだせていないため、引き続きDDT分解試験を通して調査を実施する。今後は調査対象をまだ内生細菌を分離していないメロン、スイカ、白苦瓜からも分離するとともに、野生のウリ科植物にまで対象を広げ、より多くの地点から植物を採取し、内生細菌の分離と分解活性を調査する。また、PCP分解内生菌については、分解代謝経路を解明し、植物-内生微生物複合系の構築による土壌中のPCP除去効果を検討する。
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Research Products
(7 results)