2018 Fiscal Year Annual Research Report
無限分裂する生殖腺体細胞と幹細胞を用いた卵子作製技術の開発
Project/Area Number |
18H02324
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
福田 智一 岩手大学, 理工学部, 教授 (40321640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 哲弥 近畿大学, 農学部, 講師 (70319763)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 産業動物 / 人工多能性幹細胞 / 無限分裂 / 幹細胞 / 細胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究代表が作製したブタiPS細胞を元に、生殖細胞、卵子へ誘導することを最終目的に研究を実施している。本年度、新規に8遺伝子を搭載したPiggyBac Transposonベクターを使用して、2つのクローンのブタiPS細胞の作製に成功した。このブタiPS細胞は、従来に組み換えレンチウィルスによって作製されたブタiPS細胞と比較して、リプログラミングのための外来遺伝子の発現が低く、分化誘導において優位であることが明らかになった。さらに我々は、ヒトやマウスと異なり、2種類のWntシグナル阻害剤であるXAV939およびLPAを使用することで、ブタiPS細胞がより安定的に培養することが可能である実験結果を得た。XAV939およびLPAを使用した場合、iPS細胞の継代操作において細胞死が抑制され、細胞増殖が加速されることを見出した。新たに得られたブタiPS細胞の生物学的特徴を把握するために、親株となる線維芽細胞および新規に樹立したブタiPS細胞の全遺伝子を対象にRNA-Seqを実施した。現在、得られたRNA配列データと元に発現レベルの異なる遺伝子を抽出している。異なる遺伝子の判定には非線形モデルを用い、発現量の多い、少ないを補正した上で差の有無を判定する予定である。さらにラットの生殖体体細胞に関して、無限分裂を誘導し安定的に維持できることを確認した。ラットの生殖体体細胞由来の無限分裂細胞は世界で未だ報告がなく、学術的意義が高いと考えられる。ラットの染色体由来体細胞は支持細胞として様々な動物の細胞分化に使用できる可能性があり、重要な研究と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画当初は、研究代表が所有しているレンチウィルスベクターで作製したブタiPS細胞を使用する予定であったが、この細胞はiPS細胞へ転換するための外来遺伝子の発現がとても高く、iPS細胞としての性質としては優れているが、卵子へ文化誘導する場合は、高い遺伝子発現が逆に分化を阻害することが明らかになった。このことから、トランスポゾンを用いた発現システムによって新たなブタiPS細胞を作製した。この新たな細胞株を使用して研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞からPGCLCへ誘導する条件の検討を終了した。ラットの無限分裂細胞を用いてPGCLCから卵子へ誘導可能な条件を探索する。
|