2019 Fiscal Year Annual Research Report
ルーメン絨毛組織と宿主免疫系の相互関係の解明による新規ルーメン免疫学の展開
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18H02325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
盧 尚建 東北大学, 農学研究科, 准教授 (90322130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 聡 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (90442748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウシ / ルーメン / 恒常性 / 亜急性ルーメンアシドーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】本研究では、ルーメンカニューレを装着した成牛において濃厚飼料多給により6週間亜急性ルーメンアシドーシス(Subacute ruminal acidosis : SARA)を誘導し、免疫機能、内分泌機構とルーメン運動を解析する。 【方法】ルーメンフィステルを装着したホルスタイン種雄牛(n = 4)を供試し、SARA誘導を試みた。初めに、14日間(day-13からday0)、アルファルファのみを給餌した。次に、2頭に細断アルファルファ:大麦=5:5(対照区)の割合で、残りの2頭に細断アルファルファ:大麦=3:7(試験区)の割合で計15kg/日、5日間給餌した(day 1からday 5)。その後、14日間、アルファルファのみを給餌し、クロスオーバー試験を行った。試験中は、経時的にルーメン内のpHを測定した。また、day 0、day 5においてがルーメン絨毛とルーメン液をサンプリングし、day 0、day 3、day 5においては血液をサンプリングした。 【結果】試験期間の5日間において、pH5.8以下の時間は124±38分/日(対照区)と373±95分/日(試験区)、pH5.6以下の時間は36±19分/日(対照区)と168±63分/日(試験区)であった。ルーメン液中のリポ多糖濃度を測定したところ、day 0からday 5にかけて両区で有意に上昇した。一方で、血中のLPS濃度に有意差はなかった。また、炎症の指標であるSAAやHpの血中濃度を測定したところ、両区に有意な差はなかった。したがって、本試験においては、試験区においてSARAは誘導できたが、全身性の炎症を惹起する程度のものは誘導できなかったと考えらえる。採材したday 0とday 5のルーメン絨毛において、免疫関連遺伝子、細胞分裂関連遺伝子、細胞間結合遺伝子の発現量は、両区において有意な差が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画とおり、実験が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年度と2年度の結果を基に、3年目ではルーメン絨毛上皮細胞における炎症反応と免疫応答に関する実験を行い、ルーメン内微生物、ルーメン絨毛組織と宿主免疫系の相互関係を解明する予定である。
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Research Products
(8 results)