2018 Fiscal Year Annual Research Report
New prognostic and therapeutic treatment for viral infection using plant-derived double stranded RNA
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18H02344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 尚志 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (10156870)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二重鎖RNA / イネ / ピーマン / ウイルス / アジュバント / インターフェロン / メラノーマ / 米糠 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済的利用価値の高いと考えられる米糠からの二重鎖RNA(dsRNA)抽出方法を確立した。まず、米糠に含まれるdsRNAの安定性について粗抽出液に関して検討を行い、以下の結果を得た。dsRNAは温度依存性の安定性を示し、冷蔵以下の温度で安定であることを見出した。また、dsRNAの安定性は塩濃度依存的であることを見出した。以上より、抽出の塩濃度、温度の管理が非常に重要であるが明らかとなった。次に粗抽出液を濃縮する方法を確立した。さらに経済性を高めるため、濃縮方法の改良の検討を継続している。 ピーマン由来dsRNAを用いてマウス個体での免疫賦活活性を検討した。ピーマン由来dsRNAを経鼻投与することによって季節性のH1N1インフルエンザウイルスのみならず高病原性H5N1インフルエンザウイルスに対しても強い防御効果があることを見出した。次に不活化H5N1ウイルスとともにピーマンdsRNAの皮下投与を行ないそのアジュバント効果を検討した。不活化ウイルスのみでは強い免疫応答は見られなかったが、dsRNAとともに投与することによって劇的な免疫効果が観察され、ピーマンdsRNAに強力なアジュバント活性がある事が判明した。最後にB16-F10メラノーマ移植マウスの系を用い、dsRNAの抗癌試験を行った。その結果、ピーマンdsRNAはNK細胞の活性化を通してB16-F10細胞の増殖を抑制する活性を有する事が明らかとなった。マウス個体を用いた結果は論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画した植物からの効率的な二重鎖RNAの抽出方法を確立し、動物個体を用いた抗ウイルス自然免疫応答の活性化の健闘を開始する事ができた。またその結果をまとめ、論文投稿を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
家畜への応用を見据えたアプローチとしてはマウス以外のニワトリ、ブタを用いたdsRNA投与(法)/ウイルス攻撃試験の検討を行い、有用性の確立、実用化を目指す。愛玩動物である犬では頻繁に悪性黒色腫が発生するが、それに対してdsRNAの有用性を検討する。犬を用いた臨床試験を計画し検討する。ヒトの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症のマウスモデルを用いてdsRNAの効果を検討し、SFTSウイルス感染症の治療法の開発を目指す。
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