2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of maternal-derived epigenetic modifications essential for mammalian development
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18H02355
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
尾畑 やよい 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (70312907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋浦 仁 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (70451523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵子 / エピジェネティクス / 胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、1)CRISPR/Cas9を用い、卵母細胞特異的に発現するZp3遺伝子のイントロン内に、内在性のエピジェネティック修飾因子に対する人工miRNA(amiRNA)を2つ連結して導入する、また、2)amiRNAによる標的遺伝子のノックダウン効果を2種のバックボーンで比較する、3)内在性のエピジェネティック修飾因子に対するamiRNAを8個連結して培養細胞でノックダウン効果を検証、以上3点を検討した。 1)ゲノム編集により、Zp3遺伝子イントロン内にamiRNAが挿入されたマウス2系統(miRNAのバックボーンの異なる系統)を作成できた。ゲノムシークエンスにより、amiRNAの全長がノックインされていることが確認された。また、作成したマウスは、雄で系統を維持できることが確認され、これはデザイン通りであった。 2)1)で得られたゲノム編集マウスから卵母細胞を採取した。いずれの系統においても、野生型マウスと同程度の卵母細胞が採取でき、これは定法で作成された標的遺伝子欠損マウスと変わらない表現型であった。さらに、採取した卵母細胞において、amiRNAによる標的遺伝子のノックダウン効果が認められるか否か、標的タンパクの抗体を用いて免疫染色により解析した。その結果、野生型マウスでは、卵母細胞の核に標的タンパク質の局在が認められたのに対し、作成されたマウスの1系統では、卵細胞質にも核にも標的タンパク質が検出されず、期待通り、ノックダウン効果が認められた。一方、もう一つの系統では、野生型と同様にタンパク質が局在していた。導入したamiRNAの配列は同じであるにもかかわらず、バックボーンの違いにより、ノックダウン効果に差があることがわかった。 3)内在性のエピジェネティック修飾因子に対するamiRNAを8個連結して培養細胞で発現させた結果、mRNAレベルでノックダウン効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は内在性のエピジェネティック修飾因子のノックダウンマウスを作成することができた。作成したマウスの雄には妊孕性があること、バックボーンの違いによりノックダウン効果に違いがあることなどが明らかとなり、これは、今後の研究に非常に有効な方法となった。 さらに、培養細胞で、複数の内在性エピジェネティック修飾因子のノックダウンが可能であることも示された。 以上のことから、2019年度は、これらの内在性エピジェネティック修飾因子群を卵母細胞特異的にノックダウンした後、受精後の発生能などを検証するための基礎技術が確立できたものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2019年度に作成したノックダウンマウスの卵母細胞と定法で作成された標的遺伝子欠損マウスの卵母細胞のトランスクリプトーム解析を実施し、オフターゲットの影響が生じているか否か、両者の卵母細胞におけるエピジェネティック修飾に差があるか否か検証いく。さらに、複数の内在性エピジェネティック修飾因子を卵母細胞特異的にノックダウンするようデザインされたマウスを作成し、ノクダウン効果を検証するとともに、得られた卵母細胞が胚発生に及ぼす影響を解析していく。
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Remarks |
HPは改訂に向けて鋭意努力中である。
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