2019 Fiscal Year Annual Research Report
疾患および老化研究に必要不可欠なストレス可視化マウスの開発
Project/Area Number |
18H02366
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
岩脇 隆夫 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (50342754)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 細胞ストレス / 生体イメージング / 疾患モデル / 老化モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
生きている状態そのままで生命現象を捉えることは生命科学研究において大切なことであり、そのための生体イメージング技術は近年になり急速に進んでいる。その技術を上手く活用することで、ある種の疾患については原因究明や治療法開発に役立ちつつある。この技術を支えるものに光レポーターを導入したモデルマウスがあるが、より広い分野で深く貢献するには現在でも種類が不足している。そこで本研究では特に私たちの健康問題と密接に結びつく3種類のストレスを可視化する新たな生体イメージング用モデルマウスの開発を目指している。これらのマウスはいずれも医学・薬学研究の場で高いニーズが期待され、大きく貢献するはずである。2年度にあたる本年度は主に「ミトコンドリアストレス」を対象にモデルマウス開発を進めてきた。詳細は後述するが、年度の前半に培養細胞レベルでストレス特異的な挙動変化を生じる分子の調査と選定を行い、続いて選定した分子のストレス特異的挙動変化を利用した光レポーター遺伝子の考案と機能確認を行った。予定では年度の後半に熊本大学と共同で機能確認できた光レポーター遺伝子をもつトランスジェニックマウスの作出にあたることになっていたが、現時点ではトランスジェニックマウスの作出に使用できるレベルのレポーター開発に至っていない。おそらく選定したストレス応答分子の活性を上手く利用できていないせいだと考えている。ただ最近になり新たなミトコンドリアストレス応答分子が見つかったので、その利用へ計画を転換して是非とも目的のモデルマウスを作製する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
私たちのカラダを構成する細胞はストレスに曝されると、自身を守るために様々な応答反応を示す。その1つにミトコンドリアストレス応答と呼ばれるものが知られている。ミトコンドリアは真核細胞に特徴的な細胞小器官で酸素呼吸の場として重要な機能を担っている。そのミトコンドリア内に生じる異常はミトコンドリア自体をストレスに曝らし、主機能である酸素呼吸に悪影響を及ぼすことで細胞にダメージを与える。糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌などの晩期発症型疾患では、ミトコンドリア機能の障害を伴っていることが多い。またミトコンドリアストレス応答を担う分子としてATFS-1が知られている。この分子は細胞質中で恒常的に合成されるタンパク質であり、ミトコンドリアストレスにより局在と安定性を変化させる。つまり通常状態ならATFS-1はミトコンドリア内へ移行して速やかに分解されるが、ストレス状態なら核へ向かい、分解されずに転写因子として働く。そんなATFS-1の細胞内移行および分解は厳密に制御されていて生体イメージング技術に利用するには恰好の分子メカニズムであり、ATFS-1を光レポータータンパク質に融合することでミトコンドリアストレスを視覚化できると考えた。このアイデアをもとに本年度はATFS-1のストレス応答機能を蛍光および発光レポーター分子の活性化に変換できる遺伝子コンストラクトの試作と性能試験を繰り返してきた。試作したコンストラクトをHEK293T細胞およびHeLa細胞に一過的に導入してミトコンドリアストレス剤(CCCP)で処理したところ、その幾つかではレポーター活性が未処理のときよりも上昇した。しかし、その比率は2~3倍程度であり、細胞に導入したプラスミドをそのままトランスジェニックマウス作製に用いるには完成度が低いと判断して未だトランスジェニックマウスの作出に踏み切れていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
懸命にレポーターコンストラクトの試作に励んだが、トランスジェニックマウスを作製するために用いるレベルのものを開発することができなかった。おそらくATFS-1の活性を上手く利用できていないせいだと考えている。今後は少し発想を変えてATFS-1の機能を光レポーター分子の活性化に変換できる遺伝子コンストラクトの試作に取り組みたいと考えている。一方でATFS-1とは異なる分子の利用にもチャレンジしたい。最近になりDELE1とよばれる新たなミトコンドリアストレス応答分子が見つかったので、これに着眼したレポーターコンストラクトの試作にも励む。もちろんDELE1で上手くいけば、そのコンストラクトを用いてトランスジェニックマウスの作製を行い、ミトコンドリアストレスの生体イメージング用モデルマウスとして開発および性能評価を進めたい。また3年目にあたる2020年度はタンパク質糖化ストレスに関するイメージングの技術開発を行う予定となっているので、遅れているミトコンドリアストレスの仕事と平行してRAGEの機能を光レポーター分子の活性化に変換できる遺伝子コンストラクトの試作および性能評価を進め、できるだけ早い段階でモデルマウスの作出に辿り着きたい。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Salmonella exploits HLA-B27 and host unfolded protein responses to promote intracellular replication2019
Author(s)
Antoniou AN, Lenart I, Kriston-Vizi J, Iwawaki T, Turmaine M, McHugh K, Ali S, Blake N, Bowness P, Bajaj-Elliott M, Gould K, Nesbeth D, Powis SJ
-
Journal Title
Ann Rheum Dis
Volume: 78
Pages: 74-82
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] Adaptive endoplasmic reticulum stress signalling via IRE1α-XBP1 preserves self-renewal of haematopoietic and pre-leukaemic stem cells2019
Author(s)
Liu L, Zhao M, Jin X, Ney G, Yang KB, Peng F, Cao J, Iwawaki T, Del Valle J, Chen X, Li Q
-
Journal Title
Nat Cell Biol
Volume: 21
Pages: 328-337
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
[Journal Article] Molecular Mechanism of Cellular Oxidative Stress Sensing by Keap12019
Author(s)
Suzuki T, Muramatsu A, Saito R, Iso T, Shibata T, Kuwata K, Kawaguchi SI, Iwawaki T, Adachi S, Suda H, Morita M, Uchida K, Baird L, Yamamoto M
-
Journal Title
Cell Rep
Volume: 28
Pages: 746-758
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] IRE1α-XBP1 signaling in leukocytes controls prostaglandin biosynthesis and pain2019
Author(s)
Chopra S, Giovanelli P, Alvarado-Vazquez PA, Alonso S, Song M, Sandoval TA, Chae CS, Tan C, Fonseca MM, Gutierrez S, Jimenez L, Subbaramaiah K, Iwawaki T, Kingsley PJ, Marnett LJ, Kossenkov AV, Crespo MS, Dannenberg AJ, Glimcher LH, Romero-Sandoval EA, Cubillos-Ruiz JR
-
Journal Title
Science
Volume: 365
Pages: eaau6499
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] MITOL prevents ER stress-induced apoptosis by IRE1α ubiquitylation at ER-mitochondria contact sites2019
Author(s)
Takeda K, Nagashima S, Shiiba I, Uda A, Tokuyama T, Ito N, Fukuda T, Matsushita N, Ishido S, Iwawaki T, Uehara T, Inatome R, Yanagi S
-
Journal Title
EMBO J
Volume: 38
Pages: e100999
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Danger-associated extracellular ATP counters MDSC therapeutic efficacy in acute GVHD2019
Author(s)
Koehn BH, Saha A, McDonald-Hyman C, Loschi M, Thangavelu G, Ma L, Zaiken M, Dysthe J, Krepps W, Panthera J, Hippen K, Jameson SC, Miller JS, Cooper MA, Farady CJ, Iwawaki T, Ting JP, Serody JS, Murphy WJ, Hill GR, Murray PJ, Bronte V, Munn DH, Zeiser R, Blazar BR
-
Journal Title
Blood
Volume: 134
Pages: 1670-1682
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
[Presentation] Comparison between endoscopic and histopathological findings in patients with ulcerative colitis2019
Author(s)
Tetsuo Nakayama, Shiko Kuribayashi, Junko Hirato, Takao Iwawaki, Ko Nakata, Hirohito Tanaka, Taku Tomizawa, Hiroko Hosaka, Yasuyuki Shimoyama, Osamu Kawamura, Motoyasu Kusano, Toshio Uraoka
Organizer
Digestive Disease Week 2019
-