2018 Fiscal Year Annual Research Report
Developmental analysis of xenogenic germ cells using blastocyst complementation
Project/Area Number |
18H02367
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
平林 真澄 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (20353435)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊寛 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 助教 (20587414)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | CRISPR/Cas9法 / ノックインラット / ノックアウトラット / Prdm14遺伝子 / 始原生殖細胞 / 精巣 / 卵巣 / H2BVenus |
Outline of Annual Research Achievements |
胚性幹細胞・人工多能性幹細胞が始原生殖細胞 (PGC: Primordial Germ Cells) から精子または卵子にどのような経過をたどって分化・発生していくかを詳細に解析するため、本年度は多能性細胞およびPGCに特異的な発現を示し、かつ重要な機能を持つことが知られている Prdm14遺伝子をターゲットに定め、ラット当該遺伝子の開始コドンから第4エクソンまでをCRISPR/Cas9システムにより欠失させたノックアウトラット (Prdm14/KO)、および同領域をH2BVenusに置換したノックインラット (Prdm14-H2BVenus) という2種類の遺伝子改変ラットを作製した。Prdm14/KOラットの胎生15.5日齢、出生1日齢、4週齢、および8週齢における生殖隆起・性腺を目視あるいは免疫組織染色によって観察したところ、胎生15.5日齢KO個体の生殖隆起には生殖細胞特異的に発現するVasa陽性の細胞は認められなかったが、野生型ではVasa陽性の生殖細胞の存在が確認できた。一方、生後1日齢では雌雄KO個体の卵巣・精巣ともに正常に見えたが、4週齢以上では卵巣の消失ならびに精巣の萎縮が認められた。萎縮精巣を免疫組織染色したところ、ライディッヒ細胞とセルトリ細胞のいずれも観察されたが、Vasa陽性の生殖細胞はまったく認められなかった。また、Prdm14-H2BVenusラットの着床後の胚におけるVenus の発現パターンは、PGCマーカーであるTfap2c遺伝子の発現パターンと一致していた。以上、Prdm14/KOラットは生殖細胞のみを欠損するという特徴を有し、Prdm14-H2BVenusラットはVenusの発現を指標にすることで PGCの動向を追跡することが可能で、ラットにおける生殖細胞の出現時期、あるいはその後の発生過程を明らかにできた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生殖細胞のみを欠損したPrdm14ノックアウトラット、ならびにPGCから精子 (変態前)・卵子を含む生殖細胞の動向をH2BVenus の発現を指標にして追跡できるノックインラットの作製に成功した。また、Prdm14-H2BVenus♂ヘテロ (Prdm14Venus/+) とPrdm14/KO♀ヘテロ (Prdm14-/+) の交配によって得られる胚盤胞のうち、生殖細胞欠損個体 (Prdm14Venus/-) になるものをVenus陽性胚盤胞として選別できる。着床前の時点で容易に識別できることから、本研究の最終目的でもある胚盤胞補完法を適用した迅速かつ効率的な遺伝子改変ラット作製システムのホスト胚盤胞として利用でき、本研究目的を遂行するための最適条件が本年度で整ったと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
Prdm14Venus/-ラット胚盤胞を同種ES細胞で補完し、キメララット個体の精巣および卵巣におけるES細胞由来生殖細胞の有無、ならびにそれら生殖細胞の受精能・発生能を評価する。また、これまでに樹立した蛍光遺伝子を持つES細胞ラインのうち、生殖寄与確定ラインおよび不寄与ラインを含むES細胞を用いて胚盤胞補完を行い、各ES細胞ラインの生殖細胞寄与能をin vitro (14.5日胚) で解析する。
|