2019 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色分体間接着による局所クロマチン構造変換機構
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18H02372
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 朋子 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (90615535)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クロマチン / 姉妹染色分体間接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、接着マシナリーがその機能を適切に遂行するために、局所的にクロマチン構造を変化させる機構を明らかにする。接着機構はその普遍的重要性故に、あらゆる染色体環境に対応しなければならないという問題と常に直面している。とくにヘテロクロマチン領域は接着の重要性が最も高い部位でありながら、同時に高密度にヌクレオソームが存在するために、接着遂行に物理的困難が予想される。本研究では特にヘテロクロマチン領域に着目し、高密度ヌクレオソーム環境中で接着が確立されるメカニズムを明らかにすることを目指す。 本研究では、これまで、ショウジョウバエS2細胞を用いて、ヘテロクロマチンに局在する接着確立因子Dalmatian(Dmt)の結合因子を同定し、それらの中から接着に必須の因子を同定するスクリーニングを行ってきた。令和元年度は、このスクリーニングを完了させ、同定した因子の染色体上の局在や機能を解析することを目指した。DmtにGFPタグを付加したDmt-GFP発現ショウジョウバエS2を大量培養し、GFPプルダウンによりDmt結合因子を質量分析により網羅的に同定した。コントロールのGFPプルダウンでは同定されない因子、合計341遺伝子でS2細胞におけるノックダウンを行い、ひとつひとつの分裂期染色体の形態を調べた。その結果、弱い表現型も含めた55遺伝子が得られ、それらについてValidation screeningを行い、最終的に、姉妹染色分体間接着異常を示す25遺伝子を得た。これらの中には、完全な接着不全を示すもの、比較的マイルドな接着異常を示すもの、あるいは、逆に過剰接着の表現型を示すものも含まれている。今後、これらのDmt結合因子の機能を明らかにして行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度においてスクリーニングを完了させることができた。候補遺伝子の中で、一部、ノックダウンに必要なdsRNA合成が難しい遺伝子も含まれており、これらのdsRNAの再作製を行う必要があるが、それ以外の点では概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため、Dmt結合因子の機能解析をS2細胞を用いて進め、ヘテロクロマチンにおける接着確立機構の解明を目指す。上記の進捗状況で記したとおり、まだ未完成のdsRNAが存在するため、それらの再作製を並行して進める予定である。
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