2019 Fiscal Year Annual Research Report
染色体の時空間情報と連係して細胞周期を制御する新たな分子複合体の解析
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18H02377
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾崎 省吾 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (70510147)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細菌 / 細胞周期 / 分裂 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体の機能構造を細胞周期の進行と連動して巧みに調節することは、細菌の増殖に極めて重要な役割を担う。しかし、細胞周期のイベントと染色体とを連携する分子やそのメカニズムは不明である。我々はカウロバクター菌をモデルとし、細胞分裂面を染色体の複製終結点と連携して制御する新規DNA結合蛋白ZapTを発見した。そのメカニズムと制御機構の解明は染色体の位置を介した新たな細胞周期制御機構の解明につながると考え、そのタンパク質の解析を行った。2019年度、我々はこのZapTの細胞内機能を解析した。ZapTの不活性化は細胞分裂面と染色体複製終点との共局在性を大きく損ねた。また、ZapTの過剰供給は、細胞分裂装置の局在性異常を起こし、細胞分裂を阻害した。これらより、この蛋白が細胞内に至適量存在することが、細胞分裂面の位置制御に重要であることが示唆された。これらの結果をまとめ、国際科学雑誌mBioに論文発表した。 さらに、我々はZapTのメカニズムを明らかにするため、ZapTの性状を生化学的に解析した。精製ZapTは溶液中で安定な2量体を形成した。このZapT2量体は分裂装置を構成するサブユニットZauPと直接結合し、高次な複合体を形成することがわかった。変異体解析の結果、この結合はZapTのC末ドメインに依存することがわかった。さらなるDNA結合実験の結果、ZauPはZapTのDNA結合能を促進することがわかった。現在、これらの成果をまとめ、論文発表の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って実験が行われ、2019年度に論文が投稿・採択された。続報となる論文の準備も進めており、今年度中に成果を発表するる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
ZapTと分裂装置との相互作用の細胞内での役割について、変異体解析を中心に行う。 ZapTのChIP解析から、ZapTがセントロメアに結合する可能性が示唆された。セントロメア分配における、ZapTの役割についても解析を進める。 ZapTの姉妹染色体の分離における役割は不明である。この分離に関わる酵素FtsKとZapTとの機能的連係について解析する。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] Dynamic mechanisms of higher-order complexes for replication initiation and regulation of the E. coli genome2019
Author(s)
片山勉, 三善賢弥, 林千尋, 吉田竜星, 杉山諒, 酒井隆至, 崎山友香里, 加生和寿, 川上広宣, 尾崎省吾, 永田麻梨子
Organizer
第92回日本生化学会大会
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