2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms for piRNA-mediated chromatin regulation in Drosophila
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18H02379
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
齋藤 都暁 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 教授 (30423396)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レトロトランスポゾン / エピジェネティクス / ショウジョウバエ / 転写抑制 / piRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は培養細胞OSCを活用し、レトロトランスポゾンの抑制に関わる因子を同定するとともに、生化学を駆使して各因子の機能を解析することで分子機構の全体像を理解することを目的としている。本年度は、レトロトランスポゾン抑制因子の探索を行い、CG14438と呼ばれる遺伝子がレトロトランスポゾンの抑制に必須であることをOSCで明らかにした。CG14438遺伝子は3313アミノ酸残基からなる巨大蛋白質で、10以上のZn fingerモチーフを有する。ノックダウンした結果、piRNA生合成には関与しないこと、HP1aやPiwiなどの蛋白質量に変動が認められないことを見出した。したがって、CG14438は少なくともpiRNA生合成以外の機能を持つことが推定された。さらにCG14438の分子機能に迫るため、cDNAを取得し、過剰発現を試みた。しかし、いくつかのベクター系で発現を試みたものの、リコンビナント蛋白質の発現は実現できなかった。そこで、内在性の蛋白質を材料に機能解明を進めることとし、マウスモノクローナル抗体の作成を行なった。その結果、ウエスタンブロットで内在性蛋白質を検出可能な高品質抗体が得られた。現在、この抗体を用いたさらなる研究を展開しているところである。一方でCG14438ノックダウン時のレトロトランスポゾン発現をゲノムワイドに検討するため、mRNA-seq解析を行なった。2,000万リード以上の配列を取得し、レトロトランスポゾン配列にマッピングを行なった。その結果、CG14438ノックダウン細胞では、PiwiやHP1aノックダウン細胞と同様に、10種以上のレトロトランスポゾン種の発現が上昇することが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しいレトロトランスポゾン抑制因子を見出すとともに、その機能解明を進めている。モノクローナル抗体などの材料作成にも成功しており、今後の機能解明が促進されると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモノクローナル抗体が得られたことから、CG14438自体の分子機能解明が進むと予想される。まずはじめに、CGG14438自体がクロマチンに結合する因子か否かをクロマチン免疫沈降法(ChIP)で検討する必要がある。もし相互作用が認められれば、PiwiやHP1aなどの既知のトランスポゾン抑制因子をノックダウンした時に、CG14438のクロマチン上での挙動がどう変動するか検討する。また本抗体を用いて免疫沈降解析を行い、CG14438蛋白質と相互作用する蛋白質因子を同定する。同定した相互作用蛋白質がレトロトランスポゾンの発現を抑制するか否かをRNAiで検討する。もしレトロトランスポゾンの脱抑制が認められれば、同じ経路上の因子であることが予測されるので、新規相互作用因子の機能解明も併せて進める。モチーフやドメイン解析を行い、相互作用蛋白質の分子機能を予測する。予測した分子機能が必須か否かを部位特異的置換を導入したレスキューコンストラクトを作成し、レトロトランスポゾンの発現レベルを指標に評価する。以上の解析を推進することで、CG14438を中心とする複合体の分子機能モデルを提示する。
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Research Products
(3 results)