2018 Fiscal Year Annual Research Report
セグメント重水素化中性子散乱法による天然変性タンパク質の動的構造解析
Project/Area Number |
18H02391
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 衛 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (60170784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 隆 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助教 (00573164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天然変性タンパク質 / 中性子小角散乱 / セグメント重水素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではセグメント重水素化と逆転コントラスト同調法を用いた中性子小角散乱法により天然変性領域をもつマルチドメインタンパク質の動的構造を解析し天然変性タンパク質の高度な分子認識・機能発現機構の解明を目指す。 当該年度は、(1)セグメント重水素化のためのプロテインライゲーション条件の検討、(2)X線溶液散乱法による中性子溶液散乱実験に向けた予備的解析、(3)マルチドメインタンパク質の動的構造を再現する構造アンサンブルの作成を行った。目的とするマルチドメインタンパク質はN末端とC末端にそれぞれ折れ畳まれた機能ドメインを持ち、その間に大な天然変性領域が存在する。(1)ではまず天然変性領域とC末端ドメインのプロテインライゲーションによる連結が可能であることを確認した。同様の反応でN末端ドメインを連結すれば全長タンパク質を調製できるため、セグメント重水素化タンパク質調製の道筋を示すことができた。(2)ではセグメント重水素化した全長タンパク質を用いた中性子散乱実験に先立って、X線溶液散乱法で重水素化していない全長タンパク質を用いて溶液中での動態を確認した。その結果、全長タンパク質は低濃度であれば中性子溶液散乱実験に使用可能な均一な溶液状態(単分散状態)であることがわかった。 また、(2)では実測のX線溶液散乱データが得られているため、中性子溶液散乱実験に先立ち、(3)で得られた構造アンサンブルから理論的なX線溶液散乱パターンを計算し、実測のX線溶液散乱パターンと比較した。その結果、溶液中で天然変性領域がとりうる多様な構造を再現するためには構造アンサンブルの数が不十分であることが示され、次年度への課題として構造アンサンブルの作成法の検討も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Hefの天然変性領域とヌクレアーゼドメインとがインテインを用いて連結可能であること、Hef全長タンパク質は低濃度であれば中性子溶液散乱実験に使用可能な均一な溶液状態(単分散状態)であること、などが確認できたので、初年度の研究成果としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、セグメント重水素化Hefタンパク質の粗視化MD-中性子/X線溶液散乱解析の準備として、全長Hefタンパク質の調製と粗視化MD-X線溶液散乱データの収集・解析を推進する。
具体的には; ・Hefの天然変性領域とヌクレアーゼドメインとがインテインを用いて連結可能であることを確認できたので、次はHefの天然変性領域とヘリカーゼドメインの連結を試みる。現状、インテインによる連結には連結箇所のアミノ酸はシステインである必要があるが、Hefタンパク質では連結部分のアミノ酸がトレオニンとセリンであるので、システインの代わりにトレオニンやセリンでも連結可能かどうかを検討する。トレオニンやセリンでの連結が困難な場合には、トレオニンやセリンをシステインに置換する。この場合、システイン置換により全長Hefの構造に変化がないかどうかをX線溶液散乱法等で確認する。 ・75%重水素化したヌクレアーゼドメインおよびヘリカーゼドメインと重水素化していない天然変性領域を連結してセグメント重水素化Hef(全長)を調製するためには、質量分析等で重水素化率を正確に評価する必要がある。そこで、そのために必要な大腸菌培養プロトコールを確立する。 ・現状、セグメント重水素化していないHef(全長)の粗視化MDでは構造のサンプリング数が不足しているので、計算ステップを増やして中性子/X線溶液散乱データを十分説明できるようにする。
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[Journal Article] Structure of the UHRF1 Tandem Tudor Domain Bound to a Methylated Non-histone Protein, LIG1, Reveals Rules for Binding and Regulation2019
Author(s)
S. Kori, L. Ferry, S. Matano, T. Jimenji, N. Kodera, T. Tsusaka, R. Matsumura, T. Oda, M. Sato, N. Dohmae, T. Ando, Y. Shinkai, P. A. Defossez, K. Arita
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Journal Title
Structure
Volume: 27
Pages: 485-496
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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