2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規糖鎖標的プローブの創生による医療応用技術の開発
Project/Area Number |
18H02397
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 和彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00358243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 弘樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30344716)
舘野 浩章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (30450670)
久保田 智巳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (90356923)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レクチン / 糖鎖認識 / 結合強化 / 特異性変換 / 立体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、僅か40アミノ酸から構成される世界最小のレクチンPhoSLに非天然型アミノ酸を含む様々な改変を導入して、医療現場で有用な高機能型レクチンを創出することを目的とする。1)結合力の向上、2)糖鎖認識特異性の改変、3)キャリアタンパク質部分を含めたエピトープ広範囲化を目指す。NMRおよびX線結晶解析によって得られた立体構造情報に立脚し、計算科学的手法によって変異体のデザインと結合様式の評価を行う。本年度は、結合力の向上のための変異体の作成と評価を中心に行った。一方、これまで、α1-6結合型フコース(Fucose(α1-6)GlcNAc)2糖を認識すると考えてきたが、さらに周りの糖も認識する可能性も考慮し、計算科学的解析を行った。その結果、PhoSLはFucose(α1-6)[GlcNAc(β1-4)]GlcNAcの3糖部分を認識することを明らかにした。さらに、α1-2、α1-3、α1-4結合型フコースなど他のタイプの糖鎖を認識しない理由についても計算科学的手法により解析し、その排除機構およびそれを担うアミノ酸残基を同定した。これは、糖鎖認識特異性の変換のデザインに重要な知見である。この知見について、論文発表を行った。結合強化のための変異体として、Y15およびY23に水酸基を追加(3,4-dihydroxyphenylalanineへの変換)することによる水素結合の強化、Trp28にメチル基を付加(5-methyltryptophanおよび6-methyltryptophanへの変換)することによる疎水性相互作用の強化を目論み、合成した。変異体のX線結晶解析も行い、計画通りの変異が導入されていることも確認した。糖鎖アレイ解析およびfrontal affinity chromatography (FAC)法によって、糖鎖認識プロファイルおよび結合強度を解析したところ、α1-6結合型フコースへの認識特異性を保持しているが、顕著な結合強化には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結合強化を示す変異体は得られていないが、さらに強力な変異導入のアイデアがあるため、挽回可能である。また、当初想定していなかった3糖認識の機構を明らかにし、論文発表をおこなったため、総合的には、概ね順調な進展と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに強力な変異導入を計算科学的手法により検討し、結合強化を進める。水素結合パターンの数を増やすことではなく、質の向上による水素結合力強化、接触面の大幅な拡張による疎水性相互作用の強化を目論む。
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