2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02411
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
須藤 雄気 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10452202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロドプシン / 光 / 生物物理 / オプトジェネティクス / エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロドプシンは、生物の三大ドメイン(真核生物・真正細菌・古細菌)に分布する光受容膜タンパク質の総称で、光エネルギー・情報変換を介し生命機能の根幹を司る:基礎的重要性。また、光遺伝学:オプトジェネティクスを生み出した分子として知られ、脳神経科学に利用されている:応用的重要性。このような重要性にもかかわらず、研究が行われているロドプシンはわずかであり、大部分は手つかずのまま残されている。そこで本研究は「ロドプシンの多様性の探究と可能性の追求」を目的とした。すなわち未解析ロドプシンの発現・精製(1. 探索)と精密解析(2. 解析)で多様性を探求し、基礎を強化する。さらに、それらの機能・特性を利用した新奇オプトジェネティクス(3. 操作)を実現し応用の可能性を追求することを目的とした。
本年度は、以下の3項目に取り組んだ。 1.探索:(1)公開および未公開遺伝子情報から、推定新規ロドプシン遺伝子の絞り込みを行った。(2)これらの情報から分子系統樹を作成し、グループに分類した。(3)各グループ中央に位置する数種類と末端に位置する数種類を選抜した。(4)絞り込んだ遺伝子について、組み換え生物(大腸菌,古細菌,酵母,動物細胞)のコドンに最適化した遺伝子を合成し、発現プラスミドを作成した。タンパク質発現は宿主細胞の色により確認し、新奇ロドプシンの発現・精製系を構築した。 2.解析:探索により発現・精製系を構築した新規ロドプシンの分子機能を様々な時空間領域「フェムト秒-ペタ秒・Å-ミリメートル」で、解析した。 3.操作:解析が終了したロドプシンについて、その新奇機能や特性を生かした新しい光操作を実現した。特に3つのロドプシン(RmXeR,ACR2,SyHR)について、その特性を生かした新奇オプトジェネティクスを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始から1年間で、既にインパクトのある成果をあげており、JACS誌1報,JPCL誌1報,表紙論文(Biophys. J.)1報を含む6報の原著論文を発表している。また、さらに続々と新しい成果が得られており、10報程度を準備中である。このように本研究は、当初の計画以上に順調に進んでいるものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも本研究の柱である「探索・解析・操作」についての包括的な研究を進め、ロドプシンの多様性の探求と可能性の追求を行う。投稿中・準備中の成果についても、順次成果として発表できるように注力する。
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Research Products
(13 results)