2018 Fiscal Year Annual Research Report
Engineering of translation molecules for synthetic biology approach on the genetic code
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18H02416
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
坂本 健作 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50240685)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝暗号 / 非天然型アミノ酸 / ピロリジン / tRNA / アミノアシル化 / 立体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)とtRNAの新規ペアを創出するための共進化実験を行うための準備段階として、新規構造を持つtRNAの開発を進めた。細胞質tRNAの正規二次・三次構造に対して、ピロリジンtRNAは異常構造を持つことが知られている。特に、通常よりも1塩基対だけ長いアンチコドン・ステムと異常に小さなDステムが特徴的である。この結果、細胞質tRNAにみられるTループとDループの間の正規な3次元塩基対がピロリジンtRNAには見られない。興味深いことに、このような異常構造を持っているにも関わらず、ピロリジンtRNAは大腸菌、動物細胞などの生細胞で効率よくコドンの翻訳を行うことができる。ミトコンドリアtRNAも異常構造を持っているが、mt tRNAを発現させて効率良いタンパク質合成を行った報告はほとんどない。本研究では、ピロリジンtRNAのユニークな構造を出発点として、スタンダードな構造から外れたtRNA分子を見出すことに努めた。まず、ピロリジンtRNAにチロシンtRNAのアイデンティティー決定因子を導入したところ、効率よくUAGコドンをチロシン誘導体に翻訳できることを見出した。このことは、アイデンティティー決定因子を空間的に正しく提示できるtRNAの三次構造がスタンダードに構造に限定されないことを示している。そこで、Dループ、Tループ、エキストラ・ループの塩基配列をランダム化したtRNAバリアント・ライブラリーを作製し、その中から翻訳活性の高いバリアントを単離する作業を進めた。得られた構造は、ピロリジンtRNAとも異なる新規な二次構造であった。それらをYtRNA構造、ZtRNA構造と命名し、この構造プラットフォーム上に種々のtRNAアイデンティティー決定因子を導入することで、aaRSによる認識がどのように変わるか、又は改変できるかを調べているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正規構造から外れたtRNAバリアントを多数得ることができたので、これらを出発点として新規tRNA・aaRSペアの作製に進むことができるようになった。研究は概ね順調に進んでいる。新規構造のtRNAが、チロシンを結合できるだけではなく、他のaaRSに対しても活性があるという兆候が得られている(チロシンtRNAとは塩基配列が異なる)。新規構造がオルタナティブな普遍的tRNA構造プラットフォームである可能性が出て来ており、研究の方向性の正しさが示されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに進める。新規構造の普遍性が示唆されており、チロシン系以外のアミノ酸(グルタミンなど)に特異的なtRNAについても、同様のアプローチで新規tRNA・aaRSペアの作製を試みる。
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Research Products
(3 results)