2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02417
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
古田 健也 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 主任研究員 (40571831)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子モーター / DNAナノテクノロジー / DNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、生物分子モーターとレールを人間が使いやすい形にカスタマイズすることで、分子モーターを使った多様な研究開発の端緒を開くことを目的とし、制御しやすい人工的なDNAフィラメントの上を動くリニア型の新しい分子モーターを創り出すことを目指すものである。まず、新しい分子モーターを作製するために、ヒト転写因子のDNA結合部位をダイニンの微小管結合部位の代わりに融合した新規分子モーターを構築し、ヒト培養細胞で発現させ、これを単離・精製した。次に、レールとなるフィラメント状の構造体として、DNAタイルの重合に依って作られる中空状のDNA構造体(DNAナノチューブ)を作成し、この表面にDNA結合部位の認識配列を組み込んだ。 作製した新規分子モーターが機能するかどうかをテストするために、新規分子モーターをガラス上にランダムに結合させ、DNAナノチューブとエネルギー源であるATPを入れて顕微鏡で観察した。その結果、DNAナノチューブは、新規分子モーターによって平均 12 nm/s でスムースな滑り運動を起こした。このことは、人為的に設計した初めてのDNAレール上を動くモーターが作られたことを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標の一つである、新規分子モーターによるDNAナノチューブの運動の観察に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、DNAナノチューブの滑り運動の観察に加えて、その逆の系、つまり、DNAレールに沿って、カーゴに結合した分子モーターが輸送を行う系を構築する。さらに、認識配列が異なる2種類以上のモーターによる輸送を実現するため、異なる多くの種類のDNA結合タンパク質を探索し、効率的なスクリーニングによって新しい分子モーターのライブラリを得る。
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